Dead Fox

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「ん?。今、誰か道端に居なかったか?」





ベルナルドの言葉に後ろを見てみるが誰も居なかった





「誰か一人、後ろ見といた方が良いか?」





ジャンの言葉に、ベルナルドが答える





「余裕があれば。だが大丈夫だ、六人乗せてても、この車のパワーなら大抵は振り切れる」





それはすごい、流石アルファロメオだな




だが、真っ赤なアルファロメオをぶっ飛ばす脱獄囚なんて派手過ぎる





「ベルナルド、お前が用意させてた車って何?」



「フォードの地味〜なヤツ2台」



「ショボいハナシだ」



「デイバンの手前、サンクリークで、凱旋に相応しくリンカーンのリムジンに乗り換える手筈だった」



「なら俺達はサンクリークに着けば良いんだな?」




イヴァンがそう言った瞬間、銃声が轟いた




急に轟いた銃声に、ジャン達は慌てて周囲を確認する




カインは、音のした前方を見た




二人組の保安官が真っ直ぐこっちに向かって来ていた




ハンドルを握ってない方の手にはリボルバーが握られていて、銃口は空に向いている




さっきの銃声は警告か!





「真っ直ぐこっちに来るぜ、ぶつける気かっ」



「ジュリオ、俺の足を支えててくれ」



「はい!」



「ベルナルド、イケるか?」



「ああ、避けるさ!」





ベルナルドが、ブレーキではなくアクセスを踏んだ




それに合わせて立ちカインも攻撃体勢に入る




衝突ギリギリまで引き付けたところで、ハンドルが回り、正面衝突の寸前の距離で避ける




車体が擦れ違う瞬間を狙って、カインは隠し持っていたフォークを、保安官達が乗る車のタイヤ目掛けて投げた




カインが投げたフォークは、狙い通りタイヤに刺さり、パンクした





「うおぉぉっ」



「ブラーボ!」





背後を振り返って見てみると、カインによってパンクさせられた車は、道沿いの建物に突っ込む手前で止まっていた




カインが車のタイヤをパンクさせていなかったら、保安官達は車ごと建物に突っ込んでいただろう




カインは、保安官が無事を確認すると、ジュリオの膝の上に座った





「……無茶しやがって」


「うまくいったろ?」



「ああ、俺のフォークも、上手く刺さった」



「そうじゃないデショ」




ジャンはそう言うと、カインの頭を軽く叩いた




カインが「ちぇ…」と言いながら反省しているのを見てから、ジャンは運転席のベルナルドの様子を伺った





「ベルナルド。お前、大丈夫か?」





ベルナルドが返事したのは、少ししてからだった





「…何がだ?」



「ちょっとハイになってねぇか?。気ぃ、悪くすんなよ。――外へ出てすぐは、そうなりやすい、自分で気付いてないなら言っとくべきだと思った」



「…………」





確かに、俺を含む他の奴らも少しハイになってる気がする




……少し気を付けなきゃな





「……そうだな……少し舞い上がってたかもな」





肩をすくめなたベルナルドが、ミラー越しに俺達に笑いかける




少し落ち着いた、ベルナルドを見てから、ふと、ある事を思い出し、カインは口にした





「舞い上がるって、前髪の事か?」



「「「ブフゥッ!」」」




カインの発言にイヴァン、ジャン、ルキーノのの三人が噴き出した





「…俺の髪の毛はまだ生きてる。それと、そこの三人、後で覚えてろよ」





そう言うベルナルドが何故涙目だったのかは、あえて追求しない事にした ←気のせいか?、前髪が何本か散った気がする







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