Dead Fox
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俺達を乗せたアルファロメオは、刑務所から懸命に遠ざかるように、田舎道を疾走していた
次第に、道端に人の姿が目につくようになってきていた
そろそろ朝焼けも消えた、町が目覚め始めている
ベルナルドが巧みなハンドル捌きで、離れたところから人影を避け、何度も道の角を曲がる 出来れば、なるべく目撃されないまま、町の外へと消えたい
「西に向かうんだな?、いっそ大通りを突き抜けた方が早えぜ!」
「よしきた」
ベルナルドがハンドルを手繰ると、車が勢いよくテールを振り回す
「振り落とされんなよ?」
舌を噛まないようにしっかり口を閉じながら、振り落とさないようジュリオにしがみつく
ジュリオも、カインを落とさないように、しっかりと抱き寄せる
奪って忙しく飛び乗った車の配置は、運転席がベルナルド、助手席にイヴァン、後部座席にルキーノ、ジャン、そしてジュリオとジュリオに横抱きにされたままの俺だ
後部座席に、男三人とプラス横抱きの男が一人の横並びは結構キツキツだ
この中で一番でかいルキーノを助手席に座らせた方が良かっただろうと考えても、もう意味が無い
「…………っ……!」
「うわっ!?」
急に掛かった横向きの重力で、ジュリオが一瞬、ジャンの肩へもたれ掛かった
勿論、ジュリオに横抱きにされているカインも一緒にだ
ジャンは受け止めにようとしたが、ジュリオはすぐ、申し訳なさげに身体を元に戻した
「すみません……」
「大丈夫だ、こっち壁あるし」
「俺は壁か」
「横抱きにされるより、壁の方が良いだろ。結構恥ずかしいぜ?、これ」
ジュリオの膝上で、横抱きにされながらも体勢を直しているカイン
そのカインの言葉を聞いたジュリオは
「あの、カイ……」
「ん?、どうしたジュリオ?」
「カイは俺の膝の上、いや、ですか?」
不安げに聞いてくるジュリオは、まるで子犬のようだった
か、可愛い……っ!
「そんな事無い!、あるわけ無いだろジュリオ!」
カインはそう言いながら、ジュリオの頭を撫でた
カインに頭を撫でてもらったジュリオは嬉しそうにカインに抱き着いた
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