Dead Fox

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昨日と同じで、また朝のブザーが刑務所内に鳴り響いた




本来であれば、このブザーが鳴ったら起きなければならないのだが、昨夜はあまり寝つきが良くなかったせいで今日は寝不足だった




なので、一度浮上しかけていた意識をまた沈めて眠りにつこうとしたのだが、盛りのついた獣のような息遣いが鉄格子の向こう側から聞こえてきた為、それは出来なかった





「今日もなんて美しいんだ!。一度でいいから抱かれたい!、いや、むしろ抱きたい!!」



「………」





聞こえてきた言葉に、カインは耳を疑った




此処は刑務所




刑務所内では男しかいない為、性欲が溜まる




その為、そういう趣味がないノーマルな奴でも、男相手に盛る事があると聞いた事はあったが…




あまり見たくないが、チラッと、カインは声の主を見てみた




カインが見た声の主は……





「ああ!、愛しのDead Foxがこっちをむいてくれた!」





ロイドだった




コイツは確か、ホモらしい



噂では、コイツは男に犯されたいから看守になったらしい




何度か、コイツが囚人たちにヤられていると、聞いた事がある




確かに女がいない以上、自分から寄ってきてくれるのならばいい性欲の捌け口にはなるだろうが……




カインが少し軽蔑混じりの視線をロイドに向けていると、ロイドはうっとりとした顔で言った





「ああ、本当に美しい!、こんなに近くで憧れのDead Foxを見れるなんて!」



「…お前、点呼はどうしたんだ?」





このままだと、永遠にこの場に居そうな雰囲気だった為、仕方なく声をかけた




すると





「俺に声をかけてくれた!、声もなんて素敵なんだ!。ああ、本当に素晴らしい…ハァハァ」



「おい!、いい加減に点呼を再開しやがれ!。それと、人の顔を見てハァハァするな!!」





息を荒げながら鉄格子越しに見詰めてくるロイドに、流石のカインもキレた



しかし、それにすら興奮するロイドだった





「ああっ!、怒った顔もすごく良い!!」



「ちょっ、ジョシュア――――っ!!。この変態を今すぐどうにかしてくれ――!!」





まだハァハァしているロイドに耐え切れなくなったカインは大声でジョシュアに助けを求めた




すると、その声を聞いたジョシュアはすぐに駆けつけてくれた





「ロイド!、点呼もせずに何やってるんだ!!」



「うるさい!、今あの、憧れのDead Foxを拝んでいるんだ。邪魔をしないでくれ!!」



「邪魔するも何も、点呼が終わった後にまた見ればいいだろ」





ジョシュアのその言葉に、カインはポツリと本音を呟いた





「いや、それだと俺が困るんだが……」





なんというか、俺の貞操の危機が………




その後、ジョシュアの説得(?)のおかげでロイドは何とか点呼を再開し、カインの貞操は守られた







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