Dead Fox
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「ん…、もう起床時間か…」
ブサーの音と共に、カインは目を覚ました
カインはあの後、殺人罪で【ラッキードッグ】がいると噂される、このマジソン刑務所に入れられていた
欠伸をしながら、慣れない場所のせいで固まってしまった肩を解しながら、鉄格子の向こう側へと眼を向けた
すると、ちょうど点呼をするために来たジョシュアと眼があった
「カイン・トゥエルヴィ!」
「ああ、起きてるよ…。ふぁ〜……」
また欠伸が出た
「なんだ?、眠れてないのか?」
心配そうに聞いてくるジョシュアに、カインはまた欠伸をしながら答えた
「ああ、此処は寝にくくてしかないな。俺は職業柄、こう人に寝込みを襲われそうな場所では余り眠れないんだよ。欠伸は…、ただ朝が弱いだけだ…ふぁ〜……ふぅ…」
「そうか、辛くなったら言えよ?。出来る範囲でだったら、何とかしてやれるからな」
「ああ、頼りにしてるぜ?」
ニッっと笑いながらそう言うと、ジョシュアは顔を真っ赤にした
「お前、女とかにモテるんだろうな」
ジョシュアの言葉に俺は「そうか?」と聞いた
「だってお前、なかなかいい顔してるぞ?。ロイドなんかお前に『抱かれたい』って言ってたぜ」
「うわぁ〜…、男にそんなこと言われても嬉しくないな…」
「それで、どうなんだ?。モテるのか?」
俺は「ん〜…」と言いながら少し考えた
「そんなこと言われてもな…。例えモテたとしても、今の所は興味が無い」
「興味が無いってお前な…」
ジョシュアが勿体なそうという顔をしているので、こう付け足した
「俺はまだ、昔付き合っていた女の事が忘れられないからな。だから、今の所は興味が持てない」
「な…、別れたのか?」
「いや…、死んじまったさ。かなり昔にな」
ああ
あの頃は楽しかったな
カインが遠くを見ながら昔の事を思い出していると、ジョシュアが俺に頭を下げてきた
「悪い事を聞いたな、済まなかった」
「いや、別にいいさ。…ただ俺が未練がましいだけだ」
「だけど…「おーいジョシュア!、早くこっちもあけてくれ」…!」
その声に、ジョシュアはハッと気が付いた
そう、彼はまだ点呼の確認のとちゅうだったのだ
「ほら、もう行けよ。点呼の途中だろ?」
「ああ、…何かあったら頼れよ?。力になるから」
「《何かあったら》…、な?」
俺はそう言うと手を振りながらジョシュアを見送った
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