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□自分の存在価値
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え?
それって…絶対俺が戻って来るって、思ってるってコト?
この平然とした態度はそれを確信してるからなのか?
どんだけ掛かるかもわかんねーのに?
戻って来れるかどうかもわかんねーのに?
あ、でも…先輩はそのコト知らないんだっけ。

「ん?何だ?
 まさか貴様、戻って来んつもりじゃなかろうな?」
「い、いや、そんなつもりはねーけど…いつ戻れるかなんて分かんねーんだぜ?」
「その研究とやらがどんな代物なのかは分からんが、貴様なら直ぐに片付けて戻って来れるだろう?
 もし時間が掛かってしまったとしても、お前の帰りを待ってるさ」

これは…夢?
先輩が俺を「待ってる」って。
時間が掛かっても帰りを待つって言った…よな!?

「やはり地球侵略はケロロ小隊五人揃ってやりたいからな!」

あ、やっぱそーゆーオチか…。
何度この手のオチに振り回されてんだよ、俺。
天才なんだからさぁ、いい加減学習しよーぜ?
先輩の物言いはある意味ストレート過ぎて紛らわしいんだよ、ホント…。
それにイチイチ期待してる俺も俺だぜ…。
情けないったらありゃしねー…。

「どうした?暗い顔して。
 やはり心配か?」
「?」

心配?
んなモンは山ホドあんぜ?
その全部がアンタのコトだけどな。

「フッ。お前の帰りを待つと言っただろう?
 心配せずとも、お前の居場所はここだ。
 他の誰にも譲ったりなどせんから、安心して行って来い」

〜〜〜っ!?
そ、それだよ!それっ!!
んなコトゆーから俺!!

「…カヤロー、期待…しちまうだろーが…」
「何だ?」
「んでもねーよ!!
 さっさと終わらして帰って来てやらぁー!!
 見てろ?こんちくしょー!!」
「?良く分からんが、さっさと行って、絶対に帰って来い。
 待ってるからな」

先輩?
もしかして、帰って来れない可能性があるって知ってる…?

「…絶対、だぜ」
「あぁ。待ってる。
 お前ならどんな手段を使ってでも帰って来るってな」
「クックック〜」

んじゃ、何が何でも帰って来てやるぜぇ〜。
アンタの為だったらどんなコトでもやってのけるのが俺様だかんな。
俺はアンタの為だけに存在してると言っても過言じゃねぇんだぜ?

「これから準備するんだろう?
 何か手伝う事はあるか?」
「全部データ処理で荷物はパソくらいしかねーから…。
 あ!そうだ、カレー作ってくんねぇ?」
「カレー?
 構わんが…俺が作ったもので良いのか?
 俺はあまり料理が上手くないから、ケロロにでも頼んで…」
「いや、先輩が作ってくれよ。
 アンタが手伝うって言ったんだからさ」

アンタが俺の為に作ってくれたモンだったら、どんなに不味くたって、俺には最高に美味いモンなんだよ。
らしくねーけどさ、ホント、俺の世界はアンタ中心なんだ。

「そうだったな。
 良し!待ってろ!!」
「作り方は分かるかい?」
「ああ、いつもクルルが作ってくれるのを見ているからな。
 大丈夫だ!」

そう真っ直ぐに言われると、やっぱり照れちまう、つか、期待しちまうぜぇ。
さて、と。
俺様は一秒でも早く先輩んトコに戻って来れる様に、今からお仕事といきますか。
一段落つく頃にはカレーも出来上がってるだろうからな。
したら、愛しの先輩とディナーだぜぇ〜!!



その後....
ケロロ小隊に派遣予定だったオペレーターの健康検査データを改ざんし“不適応”と追い返し。
理論上不可能とまで言われた研究を三日で完成させ。
その研究結果を脅しのネタに曹長へ再び降格させて地球に戻って来たという事実を―――

ギロロはもちろん、ケロロ小隊の面々が知る由もなかった。


*END*


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