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□あいうえお作文(クルギロ編)
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ギ:うーん…、やるとは言ったものの…どうすれば良いんだ?
ク:悩んでんなぁ。
んじゃ先輩、俺が一文字ずつ言ってやっからよぉ、“愛”で思い付くまま言ってみろよ。
ギ:思い付くまま?
ク:そ。短文だけを考えりゃぁいいし、前の文との繋がりとか、固く考える必要はねぇからよ。
ギ:……分かった。
ク:俺の声を良ぉく聞けよ?
んじゃぁいくぜぇ〜、『あ』。
ギ:あ…、曖昧な態度。
ク:『い』。
ギ:い…、言えない、気持ち。
ク:『う』。
ギ:う…、鬱陶しい程のこの想い。
ク:『え』。
ギ:え…、遠慮なんか、出来ない。
ク:『お』。
ギ:お…、お前が…好きだ。
ク:はい、よくできました。
ギ:ハッ!お、俺は今何を…!?
思わず本音が…じゃ、じゃない!!
ク:大胆告白だったぜぇ〜、セ・ン・パ・イ。
やっぱアンタは簡単に引っ掛かってくれるタイプだなぁ〜。
ギ:な、なななっ…!?
ク:にしても、まさか俺様もそこまで熱く想われてるとは思わなかったぜぇ〜。
ギ:んなっ!?
だっ、誰が貴様なんかを…!!
ク:そーんな真っ赤になって言われても説得力ねーぜ?
ギ:ニヤつくなー!!
あ、赤いのは元からなんだ!!
ク:素直じゃねぇなぁ〜。
ギ:う、煩い!
大体、何で対象が貴様になるんだ!?
ク:ちょいとした誘導尋問だったからさ。
“提示された言葉に思い付くまま答える”これは一種の催眠にも近いな。
考える間を与えないから、普段心の奥に潜んでいた想いが瞬時に浮かぶ。
そして、先輩の目の前にいたのは俺で、それを提示したのも俺様。
だから、“先輩は思い付くまま素直に、目の前にいる俺への愛を語っちまった”って訳だ〜。
クーックックックーッ。
ギ:ち、違っ!そんな訳ない!!だって俺は…
ク:日向夏美が好きだから?
ギ:!?・・・。
ク:ククッ。へぇ〜、そぉーかい。
ギ:ク、クルル?