アニメ補完計画

□小雪 普通猛特訓
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その後の夏美は半分、上の空。
小雪が体調の心配をしてしまう程だ。
それでも夏美は大丈夫と言い張るので、一通り小雪プランのデート、即ち昨日ギロロと行ったデートを実行する。
小雪のエスコートに対し、昨日はこれを『ギロロがエスコートしていたのか』などと思考を巡らせながら。
デート終了を告げるチャイムが鳴り響き、小雪と笑顔で別れた夏美は、フラフラとした足取りで帰路につく。
朝とは雲泥の差だ。
楽しかった筈なのに、充実感は見事にない。
言い知れない不安と焦りばかりが込み上げてくる。

「あぁー…、もうなんなのよぉ、この沈んだ気持ちは…」

原因は分かっている様で分かっていない。
いや、分かろうとしていないのだ。
だからこそ、尚更モヤモヤしてしまう。
気持ちが重いからか、原因を作った人物と顔を合わせたくないからか、自宅への道程がとても長く感じる。
それでも近付くにつれ、段々と見えてくる日向家の赤い屋根。
その屋根の上には色とりどりの宇宙人達。
当然だが、彼らは夏美のお許しがなければそこから降りることは出来ない。
夏美はゴクリと息を呑み、意を決して気付かれない様にコッソリと門をくぐる。
そのまま家へ入るでもなく庭へと回り、主のいないテントをそっとめくった。
中はキレイに整頓されており、住人の性格が現れている様だ。
ふと、部屋の奥に積まれた雑誌類が目に留まる。

「秘密の街デートスポット100選…失敗しないデート術…」

積み重ねられた雑誌は普段ギロロが愛読しているものではなく、人気のデートスポットなどが紹介されているものだった。
恐らく昨日のデートの為にこれを見て勉強したのだろう。
所々に印が付いている。
そのどれもが、小雪と行った場所と重なった。

「…私、何してんだろう…」

人の住居に勝手に入り込んで、詮索する。
そんなことをして何になるのか。
夏美は雑誌を元に戻すと、ゆっくりとその場を離れて家に入った。

「ただいま…」

静かにリビングを開けると、冬樹とモアが台所で食事の支度をしていた。
ケロロ達が罰を受けている為、暇になってしまったモアが冬樹を手伝っているのだろう。

「あ、姉ちゃん。お帰り〜」
「お帰りなさい、夏美さん」

夏美の小さな挨拶に気付いた二人が揃って振り向き、笑顔で迎え入れてくれる。
だが、今の夏美にはそのまま二人と会話を交わす気力はない。
ましてやあの宇宙人に会うなど…。

「冬樹…。悪いんだけど、ボケガエル達降ろしてあげてくれる?」
「え!?姉ちゃん!?」

夏美はそれだけ伝えると、驚く二人をよそに、自室へと戻ってしまった。
普段なら最後にガツンと一言言って解放するというのがパターンだ。
それをしないどころか、冬樹に任せるなんて…。
明らかに様子がおかしい姉。
こんな時は自分が聞いても強がるばかりで何も答えてくれない。
冬樹はその場をモアに託すと、慌てて屋根へ上がって行った。
夏美は自覚していない様だが、こうなってしまったら夏美を救えるのは二人しかいない。
一人はもちろん、母親である日向秋。
そしてもう一人が…

 
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