アニメ補完計画

□夏美 ロミオとジュリエット?
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今日は吉祥学園文化祭。
舞台発表でロミオとジュリエットを上演する予定の2年A組なのだが…。

「どうしよう、夏美・・・」

季節外れの食中りが原因で、参加出来ない生徒が出てしまったのだ。
万事休すと落ち込むも、ケロロ達のお蔭でセットの方はなんとかなり、残るは配役だけ。
セリフは舞台袖からカンペを出してフォローするという事までは決まった。
しかし、劇の相手役に誰の名をあげても中々“うん”と言わない夏美。
開演時間が刻々と迫り、友人達にも不安が広がってくる。
そんな中、名乗り出たのは友人の小雪だった。

「そっか!小雪ちゃんなら見た目もバッチリだし!」
「うんうん!結構いいかも!」

更に二人の息が合うことは、以前に共演したピーターパンでも証明されている。
未だに浮かない顔をしている夏美だったが、友人達はこれ以上ない程に小雪が適任だと判断した。
そして、そのまま準備に取り掛かろうとした時。

「その役、俺が演らせてもらう」

と、爆発と共に突然現れたギロ山ロミヲ。
呆気にとられている友人達を余所に、名乗り出てくれた友人ではなく、その男の手を何の迷いもなく引いて去って行く夏美。
予想を遥かに越えた展開に、友人達はただ唖然とした。
が、小雪だけが二人に向かって笑顔で手を振っている。
まるで、最初からこうなることが分かっていた様に。

「さぁ!私達も早く準備しちゃいましょう!」
「そ、そうよね」
「急がなきゃ!」

小雪の言葉にハッと我に返り、取り敢えず作業を再開させる。
頭の中では、未だにクエッションマークが浮かんでいたが、役者が決まった以上、手を休めている暇はない。
チラリと夏美の去って行った方に目を向ける。
小雪が名乗り出てくれても渋っていたのに、ギロ山が現れた時の夏美の決断力の早さ。
その表情を思い出し、友人達がそれぞれに出した結論は一つ。

(夏美はサブロー先輩が好きなんだと思ってたけど…本当はあのギロ山って人が好きだったのね)

何故か妙な納得感があり、友人達は笑みを浮かべた。
いつもその手の話しは曖昧に誤魔化されてしまうので、夏美の本心が知れて嬉しかったのだ。
友人達の様子に、小雪も満足気な笑みを浮かべる。
そして、隣で心配そうに小雪を見ていたドロロに声を掛けた。


 
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