あおえく
□たとえ君が
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「…もう、お前とは一緒にいられない。」
8年間ずっとそばにいた幼馴染は泣きそうな顔でそう告げた。
『燐っ…なん、で…?』
こんな時に限って言葉上手くでない。
「俺…、悪魔の息子なんだ…。ずっと黙っててごめんな、夏乃。」
『…燐がサタンの息子だってこと、私知ってたの。』
「!…俺が怖くなかったのか…?」
『怖かったら、…好きになんてならない』
私がそう言いかけた瞬間、燐の優しい香りがして、唇に触れるだけのキスを落とされた。
「夏乃のこと、ずっと好きだった…。これからもそばにいてほしい…!」
『…もちろんだよ!』
そう言って私を優しく抱きしめる燐の顔にはさっきまでの迷いはなかった。
(夏乃をずっと守れるような)
(強さがほしい)