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覚悟しとけよ、花井。
俺は絶対お前を落とすぜ、ゲンミツに!!
「花井!!」
廊下を歩いていたら、花井を見つけた。9組と7組ってけっこう離れてるからさぁ。会えるとか超ラッキーじゃん、俺。
「田島、でけぇ声出すんじゃねぇよ。」
呆れたようにため息をつきながら振り返る花井。そんな顔が俺は大好き。
「だって、花井と話したかったんだ」
「はいはい、分かったから。」
そう言って俺の頭に手をのせる花井。背の違いを感じてムッとするけど、そんな花井も大好き。
好き、好き、好き。怒ってる顔、泣いてる顔(泣かした奴は半殺しだけどな)、照れてる顔も、花井の顔はすっげー好き。
顔だけじゃない。皆から、キャプテン任された時の潔さ、誰にでも優しい面倒見の良い所。頭いいし、背高いし、すぐ怒るけど・・・。全部ひっくるめて、花井が好き。
「田島、授業始まんぞ。」
「ぇ、あぁ、そうか。」
あーぁ、今度会えるのは放課後か。つまんねーの。阿部が羨ましいと思ってる俺ってかっこ悪いかな??
「田島。」
「ん、何?」
「また放課後にな。寝んなよ。」
花井は俺の頭を叩いたあと、授業に遅れるとか言って、走って行ってしまった。
たった一言なのに。耳が熱い。
あいつから言われると超嬉しい。俺、花井にメロメロなんだな。
「よーっし!!」
窓を見たら、雲が見えた。今なら届きそうな気がする。
全力でやれば、できねぇことなんて無いもんな。だから、きっと花井のことも何とかなる!!
「覚悟しとけよ、花井。」
俺を本気にさせたんだ。ただで済むと思うなよ。
絶対に逃がさねぇ。
さぁ、目標は決まった。
手は届いてんだ。あとは引っ張るだけ。俺は、最強だから。
空なんか、すぐ手にできる。
もう一度見上げた空は、さっきよりも近づいてるように感じた。
〜FIN〜