ONE PIECE
□第9話
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久しぶりに静かな日々が続いていたある日。
『…ねえ、ローは?』
シャチ「船長ォ?」
モグモグと口に朝ごはんを運ぶシャチにそう尋ねると、「今日起こしに行ったのべポだぞー!」と言われ、操縦室へ向かう。
『べポー?』
べポ「あ、レイ!どうしたの???」
『いや、ロー起きてる?朝ごはん出来てるのにまだ来なくて…』
べポ「えっ?そうなの??」
俺も一緒に行く!とついてきてくれるらしいべポに心の底から感謝し、部屋の前に着く。
コンコン、
『ロー?起きてる??ご飯出来てるよ??』
………………。
べポ「起きないね…」
『もう…入るよ!』
べポと入るとベッドに寝ているロー。
近くに行ってユサユサと身体を揺らせばピクリと動いた。
『あ、やっと起きた?もう…いつまで寝て「…るせぇ………」…は?』
ゆっくり瞼を開け私を見るロー。
…あれ?なんかいつもより………。
ロー「べポ……寝る………」
『は?!私べポじゃないけど!!??』
べポ「船長!俺こっち!」
そう言ってブンブンと手を振る私とよく似た女の子。
――私と…よく似た……女のコ…?
ハッ!となって自分の手を見ればモフモフした毛がついた柔らかい手。
『!!?!!??』
声にならない悲鳴を上げれば「何事だー!」とみんなが集まる。
「レイ、べポ、何してんだ?」
『うわああああん!!!!助けてえぇえぇえええ!!!!』←外見べポ
「はあぁああ!!??べポ!!なんだよ突然!!!」
『べポじゃない!!!中身は私なの!!!!!』←外見べポ
「「「……えっ?」」」
べポ「俺こっち!!」←外見レイ
「え?…いやいや…それはレイ………」
『ローの仕業よ!!!どういうつもり?!』←外見べポ
と、泣きながら叫ぶとゆっくりと起き上がるロー。
『………』
ロー「………」
5秒くらい無言が続いたと思えばフラーッと倒れるロー。
『!!まさか!』←外見べポ
「船長凄い熱だぞ!」
「「「えええっ!!!?」」」
「やべええ!!!船長が死んじまう!!!」
「医者ァアァアアア!!!」
「バカ!!俺らが医者だろうが!!!」
『もう!!うるさーーい!!!誰かペンギン呼んできて!!!それ以外は出ていく!!』←外見べポ
べポの姿でその場を制すと、違和感の塊なのだろう「お、おお………」とびっくりしながら部屋を出ていくみんな。
べポ「…レイ、ごめんね俺の身体大丈夫?」←外見レイ
『今はそんなの気にしてられないから!とにかく、ローをどうにかしてあげないと……』←外見べポ
ペンギン「おう、レイどうした?」
『あ、ペンギン!あのね…』←外見べポ
ペンギン「え?レイ…、え??」
私とべポを交互に見合い、後ろのローを視界に入れたペンギンが汲み取った。
ペンギン「なるほど。今はお前がレイなんだな」
『そういうこと!!…ってそうじゃなくて!ロー凄い熱なの、この身体じゃ私診察できないから…』←外見べポ
ペンギン「ああ、それで俺な。わかったわかった。…船長?失礼しますよ〜」
と、ペンギンがローに触れた時―――。
ペンギン「え…、あ、れ…?」
『え…?』
べポ「あっ!戻ったー!」
「『戻ってねぇえええ!!!』」
『いや、まあいいや!!べポ!急いで部屋から出て!!ローに捕まらなきゃいいんだ!!とりあえず私、ペンギンの身体で我慢するから!!』←外見ペンギン
ペンギン「お、お、俺……が…おん、女の……レイの身体に………」←外見レイ
べポが出ていってから、キャパオーバーになったペンギンが倒れ、もう使えなくなってしまった。
『く、くそう……風邪を引いたローがこんなに手強いなんて…!!』←外見ペンギン
ロー「……っ」
『……』←外見ペンギン
いつもより早い呼吸に、少し赤い顔。
『…夜行性の生活ばっか送ってたからだバカ』
そっとローの額に手を当てればものすごく熱かった。
枕を持ってきてもらっていた氷枕に変え、冷やしたタオルを額に当てる。
『まあ、久々にゆっくり寝てなよ』
と、布団をポンポンと叩く。
『…はぁ……本気で寝ちゃったのか………』←外見ペンギンのまま
とほほ…と1つため息をこぼした。