未来航海

□Episode2~リトル・ガーデン編
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次に私達が目指すのは《リトル・ガーデン》と呼ばれる島。
確かあの島は古代生物が未だに生きる島で、
巨人族も住んでいるんだっけ。
何かの文献で見たことあるな。まあ、安全な
島ではないだろう。古代の島なら珍しい植物とか、
動物は居るんだろうけど、逆に危なそう。

なんて、頬杖をつきながら考えていると
聞いてんのか?と呆れ顔のウソップ。


『ん?』

ウソップ「オメェの尋問だよ!!」

『え?あぁ…そうだったね。ごめんごめん』


《クロッキー島》を出て船が安定しだした頃、
皆の名前だけ教えて貰うとウソップが尋問だ!
と少し怯えながらも私に話を持ち出した。
皆もやはり興味があるのか、周りに集まっていた。


ルフィ「そんな警戒しなくても、
ソイツ悪い奴じゃねェぞ?」

ウソップ「いや!ルフィ!見ただろ!
軍艦を一隻、ああも簡単に沈めたんだぞ!!」

『ふふっ、なんなら改めて自己紹介するよ。
あ、言わなきゃいけない事もあるし』

ナミ「言わなきゃいけない事?」


とりあえず自分の手配書を皆に見せると、
想像通りの反応だった。


ウソップ「さ、さ、3億ゥ!!!!???」

サンジ「なんであんな所に居たんだシエルちゃん!」

『"海鴉"こと、レトリック・シエルです。
あの島にいたのはまあ追々…。
一応画家だったり、鍼灸師だったりもするけど、
本業は剣士ってことで』

ゾロ「……("海鴉"……)」

『それと悪魔の実の能力者で"ソラソラの実"
を食べた風人間…とでも言っておこうかな?』


その場に緩やかな風を起こすと
おお…と誰かがそんな声を零した。
で、言いたいことは?と話の核心を持ち出すナミ。


『あ、そうそう』


バッとジャケットを脱ぎ、Tシャツも脱ぎ捨てると、
な、何を…!とビビが止めに入った時、
彼女は"ソレ"を目にした。


ビビ「そ…それって……!」

『びっくりした?私、本当は…………

……"白ひげ海賊団"の船員なの』

「「「ええええ!!!??」」」


左胸に入れた刺青は、四皇の一人である白ひげのマーク。
これは私なりの彼らとの"家族"としての繋がりである。


ビビ「まさか白ひげ海賊団だなんて…!」

ルフィ「誰だ???」

『ははっ!オヤジの名前を知らないか。
さすがだよルフィ』

ウソップ「な、ななななんだァ!!?
スパイでもすんのか!!??」

『違うよ。私は白ひげ海賊団の"0番隊"隊長。
基本的に自由だから私が誰の船でどうしてようと
許可は降りる。ただ、あなた達からの"許し"がないから…。
もし嫌なら、今すぐここから降りるよ』


ニコリと笑ってそういえば、
俺は何でもいい!と、言うルフィに、
本当に仲間ならな!とつっこむウソップ。

用心深いな。なんて思ってしまった。
多分あの船は用心するまでもなく個々が
自分の強さにある程度の自信があったから
であろうと思うけど。


ルフィ「船も出ちまってるし、今更お前を
降ろすわけにもいかねェし、俺は気に入ってる
からいいんだ!!」

ナミ「もうこうなったら止まんないわよ」

『ふふっ、ありがとう。
…白ひげ海賊団でもあるけど、私が海賊王に
したいのはルフィ、貴方』

ルフィ「おう」

ウソップ「いいのかよ、そんなこと言っちまって…」

『私はオヤジには長生きしてほしいだけ。
誰にでも隠居する時期は来ると思うから。
無理して欲しくないって意味も込めて、
私はルーキーに賭ける』

ナミ「さっきからオヤジオヤジ
って言ってるけど、オヤジって…」

『オヤジは"白ひげ"のこと。
私にとっては白ひげ海賊団は"家族"』

サンジ「えっ!?」

『ははっ!勘違いしないでね?みんな血は
繋がってないから。…私は旧友との約束と、
本当の父親を探すために船乗りをしてたの。
実は海賊になるつもりなんてなかったんだけどな』


船を出したのは4年前だったか。それまで
思い返せば色んな人にお世話になってたな。
未だに立派に独り立ちもできないガキだよ、私は。


ゾロ「…旧友との約束、か…」

『ん?』

ゾロ「いや」

『えっと…麦わら一味でもあるけど、
白ひげ海賊団でもあることをお忘れなく。
時たま帰省することあるから』

ルフィ「ああ!いいぞ!」


懐の大きさもきっと自分自身の強さに
自信があるからなのであろう。強さには
戦闘能力もだけど、知識も要れば、
精神的強さだって必要だ。彼の場合、知識が相応かは
わからないが、精神的な強さなら
並大抵のものじゃないのだろう。
だからこそ、懐も大きくなれる。

逃げ出そうと思えば私はいつだって
逃げられるけど…。


『(ルフィがああなんじゃ…
下手なことしても連れ戻されそうだな…)』


宴だ宴だ!と騒ぐルフィを見つめながら
ふっ、と笑いを零した。


ナミ「アンタもエラいのに捕まったわね」

『…慣れてる、のかも…?』

ナミ「あら、随分モテるのね」

『うーん、でもそれは違うかも』


ははは、と笑っているとビビが
少し険しい面持ちで私の元へ来た。


ビビ「あの…シエルさんに聞きたいことが…」

『?』

ビビ「貴女は、バロックワークスと
何か繋がりがあるの?」

『バロックワークス???』


聞いたことがあるようなないような…
記憶を辿るが1年も海に出ていないと細かい情報も
その分入ってこない。未だに色々鈍ってるし…。


ビビ「あの王下七武海、サー・クロコダイルが
率いる秘密組織で…」

『ああ、クロコダイルか…』

ビビ「クロコダイルを知っているの!?」

『まあ…なんていうか…会ったことないけど…
知り合い…でもないか……うーん…』

ナミ「ハッキリしないわね」

『………あ』

ビビ「??」

『そういえば勧誘はされたことある。確か』

ビビ「えっ?!」


白ひげ海賊団の船に乗っていた頃。
マルコから手紙だ、と茶封筒を1通もらった。


『誰から?』

マルコ「さあな。また赤髪なんじゃねえかよい」

『ええ…シャンクスが手紙を寄越すと思う?』

マルコ「……思わねェ」

『でしょう?ったく…誰だよ……、んん?』

マルコ「どうした?」

『………いや、見なかったことにする(ビリビリビリ)』

マルコ「よかったんかよい」

『……敗北者でも"敵"は"敵"だからね』

マルコ「?」



なんて事があったな。今思えばあれが
バロックワークスの誘いだったのか…。


ビビ「けど、シエルさんがクロコダイルのことを
知っているのなら、ミス・オールサンデーがシエルさんのことを
知っているのも納得できるわ」

『ミス・オールサンデー???』

ビビ「バロックワークスの最高司令官で、
クロコダイルのパートナーよ」


と、バロックワークスの組織構成と
わかってる範囲での詳細を聞いた。

なるほど、そんなことしてんのかクロコダイル。
国を丸ごと乗っ取る気なのね。なんて奴。


『それを阻止すべく、国の王女様が
わざわざ出向いたのね…』

ビビ「ギクッ)えっ……??」

『さっきルフィが言ってたよ』

ナミ「はぁ…あのバカ……」

ビビ「いいのよナミさん!シエルさんも
仲間なんだし、知っておいてもらっても…」


なんてナイスなフォローをする
王女様なんだ、と関心←
それから、2人にこれまでの経緯を聞き、
とりあえず目的はわかった。


『アラバスタねぇ………』


そういえばアイツもこの辺旅してるよな。
もしかしたら会えたりするかな。なんて、淡い期待を
しながらユラユラと船に揺られ、
《リトル・ガーデン》へ向かった。
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