未来航海

□Episode3~冬島編
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助けて!!!と声と共に入ってきたのはさっきの獣に、
ルフィと…サンジだった。

サンジも来てくれてたのか…。2人とも身体にぐるぐると包帯を巻かれてて
きっとここに来る途中に負った傷なのだと思った。
…申し訳ない、そんな罪悪感を感じた。


『………あ、ドクトリーヌ。さっきから気になってたんだけど…

あの…青っ鼻の喋る獣…一体何者??』

くれは「あいつかい?…名前はチョッパー。ただの青っ鼻のトナカイさ」

『普通のトナカイは喋らないわよ?』

くれは「…ただアイツはヒトヒトの実を食べて、
"人の能力"を持っちまっただけさ」


と、その時、さっきまで小さかった獣…チョッパーが急に大きくなった。


『(動物系……?)』

くれは「あいつにゃああたしの"医術"のすべてを叩き込んであるんだよ」


チョッパーがうまく逃げ切り、ルフィとサンジが一服がてら、とドクトリーヌを海へ誘う。

が、勿論そんな誘いを受けるドクトリーヌでもなく、飛んでくる無礼な言葉に
蹴りを入れると2人は壁に頭が食い込んでいた。


『(本当……元気な人……)…ん?』

チョッパー「はっ!」

「「あ」」


とチョッパーの姿を見つけるとまた追いかけっこが始まった。
サンジに、美味しい料理を作るからね、ととびっきりの笑顔にウインク付きで言われたが、
勿論ドクトリーヌがそれを聞き逃すわけでもなく、お前らを食ってやるよ!と、
魔女のような台詞を吐いて2人を追いかけていく。


『……あんなにピンピンされると…心配しないでもいいと思っちゃうわ…』


開けっ放しの扉からは冷たい風が入ってくる。…よく見れば、廊下が凍ってる?


『?なんでお城の中なのに…』

「おい!ちゃんと寝てろよ!!」

『あ…チョッパー…?』

チョッパー「お前まだ熱があるんだぞ!」


そう言われ自分の額に手を添えるがそう熱くはない。殆ど引いてるみたい。
と言えば、ドクトリーヌの薬はよく効くから、と、私を寝かす。


『ありがとう。チョッパーが看病してくれてたんだっけ』

チョッパー「うっ、うるせえな!!……人間なんかにお礼を言われる筋合いはねえ!!
ふざけんな!!コノヤローが!!」


とニコニコと笑い、心底嬉しそうな仕草を見せるチョッパー。
…なるほど、感情を隠せないタイプなのね。クスクスと笑っていると、
真剣な面持ちで私に近づく。


チョッパー「お…、お前ら海賊なのか……!!」

『うん、そうだよ』

チョッパー「ほ…本物か?」

『ええ、本物』

チョッパー「ど、ドクロの旗を持ってるのか…?」

『船に付いてるよ』


興味があるの?と聞けばねえよ!!!と後ろの本棚に思い切りぶつかり、
かなり動揺してる様子。

ない。とは言ってるけどきっと興味はあるはずだし…多分……海にも出たいと、
どこかで思ってるんじゃないか。と勝手に解釈。


『チョッパーも、一緒に行かない?』

チョッパー「おっ!!??!!」

『海へ。すっごく楽しいよ』


それに、私もお医者さん付きであれば不安もないし3日もここにいる必要もなくなる。
それに…、今船には船医が居ないのだ。この機会を逃すわけにもいかない。

チョッパーを連れていく気は満々なのだが当の本人が否定に入る。


チョッパー「俺はトナカイだぞ!人間なんかと一緒に居られるか!!大体…お前……

俺を見て恐くないのか……?」

『………』

チョッパー「俺はトナカイなのに2本足で立ってるし…喋るし……」

『ふふっ、そうだね。"普通の人間"なら怖いだろうね』

チョッパー「えっ…?」

『ウチの船には"普通の人間"は居ないよ。…それに…私も

……同じ"化け物"だから』

チョッパー「…?」

『いずれ、時がくればわかるよ』


と、その時にルフィとサンジがやってくると、またチョッパーと3人の追いかけっこが始まった。

…本当に怪我人なのか彼らは…。と思えるほどさっきから城内を走り回ってる様子。


くれは「感心しないねえ小娘。あたしの居ない間に許可なくトナカイを誘惑かい?」

『ふふっ、男を誘惑するのに許可がいった?』

くれは「ヒーッヒッヒッヒッヒ!!…いーや、いらないさ。持っていきたきゃ持っていきな」


だが、一筋縄じゃいかないよ。とドクトリーヌが言葉を続ける。
…どうやら過去に深い傷を負ったチョッパーの心は、誰1人癒すことのできないものだそうで。


くれは「……だが、1人だけ居たんだがね…」

『えっ…?』

くれは「そいつの名はDr.ヒルルク…チョッパーに名を与え息子と呼んだ…ヤブ医者だ」

『ヤブ医者……』


他人の過去へ踏み込むほど失礼なことをしたくはないが、
何故ヤブ医者がチョッパーを育て、息子と呼んだのか。
ただ純粋に…気になった。

人間と獣。なかなか越えることのできない壁を越え、"チョッパー"という人格を与えた。
血の繋がりなく、人種さえも関係なく人を愛した男…
Dr.ヒルルク。私は自分の欲という名の興味に勝てなかった。

どんな人なのか、と尋ねようとした時、チョッパーが息を切らして入ってきた。


チョッパー「ワポルが…帰ってきた!!!」

くれは「……そうかい」

『??ワポル…?』
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