ONE PIECE

□第5話
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ベポ「新しい島が見えてきたよー!」


朝、そんなベポの声で目を覚ました。

ハッと気づけばどうやら昨日はあのまま船の外で寝ていたらしく。


『…くしゅんっ!』


あ、やばい。また風邪引いたのかな。これは絶対ローに怒られる…。

ローに…………。


『…はぁぁ…もう、いいよ!どうにでもなっちゃえ!』


なんて自暴自棄になりつつ、食堂でホットミルクと朝食を食べていると、


ワーズ「もうすぐ着くって」

『…うん』


なんて、わかりきった報告をしてくるワーズ。


ワーズ「…レイ、一緒に来ないか?」

『ワーズにはベルさんが居るじゃない』

ワーズ「ベルは、トラファルガー・ローが好きなんだ。あいつ…きっと船から降りる気はないぞ。それに、ずっと隠してたんだが…」

『えっ…?』


――――――――――。

―――――――。

――――。


ローside


あの胡散くせえ放浪人が元気になった頃、何度も俺のところへくる女。


ロー「なんだ」

ベル「コーヒーです」


良心的な奴。という印象だったが段々とウザくなってきた。

レイはレイであの男と喋ってやがるし。


ロー「イライラ)…………」

ベル「……レイさん、気になるんですか?」

ロー「ああ?」


クスリと笑う目の前の女の気に食わない顔。


ロー「……」

ベル「私だけ見てくださいよ、ローさん」

ロー「は?」

ベル「私…好きなんです。ローさんのこと」

ロー「…そうか」

ベル「ふふっ、慣れてるんですね」

ロー「俺はお前に興味はない」

ベル「私は"彼女"に興味はありますけどね」

ロー「!!!」

ベル「やっと反応があった」


そっと俺の頬に触れる手は冷たかった。


ロー「触るな」

ベル「いいんですか?私とワーズがどんな話をしているか知らないでしょう?」

ロー「どういうことだ」

ベル「そんなのいくらローさんにだって言いませんよ」

ロー「チッ………」


女の横を通り過ぎようとすれば、腰に抱きついてくる。


ロー「離せ」

ベル「言ったじゃないですか。好きなのは本当ですよ」

ロー「断る」

ベル「ふふっ、彼女がどうなってもいいんですね」

ロー「っ!」


ニコリと笑う女はまさしく悪魔。

クルーの誰かが言ってた天使なんて言葉は似合わない表情の女。


ベル「ローさんは私の言うことを聞いてればいいんですよ」

ロー「………」

ベル「彼女のことを守りたかったら…ね…?」


―――部屋から出て、食堂へ向かうと、今日もレイと男は話していた。

…が、レイを見ればいつもとは違う様子。


ロー「おい」


いつもみたく話しかけると、トロンとした目。


ロー「はあ…お前、また風邪引いただろ」

『なあっ!?』


額に手を当てると案の定熱かった。

腕を掴み、部屋まで連れていこうとするが動かないレイ。


ロー「…また外で寝てたんだろ」

『…ローには関係ない……』

ロー「バカか。クルーの体調くらい俺が…『いいの!』…」

『いい…からっ、』


俯きながら肩を震わすレイ。

無理矢理顔を上げれば、泣きそうな顔だった。


『やめて………』

ロー「…?」

『わ、私に…優しく……しないで………』


何を言い出すかと思えば…、

呆れ気味に溜息を吐き、抱えようとするがレイが暴れる。


『ほんとにやめて!!!!』


大声でそう言うと、食堂が静まり返った。


『ロー……気のない女の子にはね、優しくしちゃ、ダメなんだよ』

ロー「レイ…!」

ワーズ「トラファルガー、レイのことはそっとしといてやれよ」

ロー「お前は関係ねえ…!!」


男はレイを俺から守るように肩に手を回していた。……レイもそれを解こうとしてなかった。

…胸糞悪い。


ロー「…好きにしろ」

『!!!』


背を向けた時、丁度あの女がやってきた。


ベル「ニコッ)丁度よかった、"ロー"。探してたの」

ロー「……」


女はオレの腕を掴むと部屋へと引いていく。

チラッと振り返ると男がニヤリと笑っていた。


ロー「(クッソ…!)」


―――そして、島に上陸した。
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