ONE PIECE

□第5話
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ベルさんの体調が良くなって3日程過ぎた頃。

ベルさんもは食堂でコックさんと一緒にご飯を作って、クルーの心を鷲掴みにしているわけで…


「ベルちゃん可愛いなー」

「あのほわほわした感じがなー」


なんて、惚気てるクルーの言葉を聞く度に自分が嫌になってくる。

私なんか可愛くもなきゃ、簡単な手料理しか作れないし、結構な酒豪家ですよー!

って、思ってるのもきっと可愛くないんだろうな…。

と、はぁ…と溜息を吐いて、お酒を片手に甲板へと出た。


『…………』


ザァァアアァ……

と、音を立てる海に、

サーーッ

と、優しく吹く風がとても心地よくて、そっと目を閉じ全身でそれを感じていた。


『………はぁ…』


けど、幾度となく出てくる溜息が私を現実に呼び戻すようで…。


『………なんで……』


狙撃なんてしてたんだろう。

と、根本的なところから自分を責めていく。


『(みんな、ベルさんにメロメロだし。私なんて女扱いされてるんだか…)』


はぁ…ともう一度溜息を吐いてグビーッとお酒を飲み干すと、後ろから「いい飲みっぷりだね」と、お酒を両手に持ったワーズがやってきた。


『ワーズ…』

ワーズ「隣、いい?」

『うん』


今はそんなに話したくない気分なのにな。って思ってるのもバレてたのか、「はい」とお酒をくれたワーズ。

それに甘えて私はお酒を飲んだ。


『……ん』

ワーズ「どうしたの?気分悪い?」

『ううん、きっと寝不足なのかも。あんまり気にしないで』

ワーズ「寝れないの?」

『んー、医学の勉強してるだけ』


事実、ベルさんが眠ってから部屋を出て、医学書を持ってここ最近ずっと見張り番していた。

したい人なんて居ないから代わるよと言えばみんなすぐ代わってくれるし。


ワーズ「早く寝ないと、身体に悪いよ」

『いいの。自分の体調管理くらいできるから』


また1口、お酒を飲んだ時―――。


ワーズ「レイはさ、トラファルガー・ローが好きなの?」

『ぶーーーーっ!!!!』


思わぬ切り込みに、吹いてしまった。

どんなタイミングで聞いてくるんだよなんて思いながらも答えた。


ワーズ「その様子だと…」

『ははっ、好きだよそりゃ。船長なんだし』


なんて、上手い返しをして話を逸らそうとすると、バッと腕を引かれ身体ごとワーズに向いた。

あまりの勢いに持っていたグラスを落としてしまう。


『…!?』

ワーズ「…恋愛的に、だよ」

『えっ…?』

ワーズ「俺は…………レイが好きだよ」

『!!』

ワーズ「できれば…次の島で一緒に降りて欲しいくらい」

『いやっ、それは……』

ワーズ「実はね、ベルもローが好きみたいなんだ」

『っ!』


薄々気付いていた。彼女の視線の先には、いつもローがいることを。

ただ、それは認めたくなくて、ずっと知らないフリしてたのに…

言葉にされると重く心に刺さった。


ワーズ「…やっぱり、ローが好きなんだ」

『ちが…っ、きゃっ』


手首を掴まれ引っ張られた勢いでワーズの胸に飛び込んでしまった。

そしてワーズは私の背中に腕回した。


『やだっ、ワーズ!離して!!誰かに見られたら…!』

ワーズ「さっきも言ったでしょ?俺はレイが好きなんだよ」

『…っ』

ワーズ「それに、"誰か"じゃなくて…見られたくないのはトラファルガー・ローにでしょ?」


核心ばかり突いてくるワーズに思わずカチンときてしまい、押し返して頬を殴った。

―――甲板に響くパチンッと乾いた音。


『やめてよ…………』

ワーズ「…俺は本気だから。必ず……君を奪ってみせる」


そう言ってワーズは部屋の方へと戻っていく。


『…………』


軽く放心状態のまま、船にもたれかかった。

わかってたんだよ。自分がローのことを、船長じゃなくて、1人の男の人として好きなことくらい。

全部気づいてたのに、気づかないでいただけ。

じゃなきゃ………。


『ポロッ)…っ、ロー……………好き……………』


溢れる思いを止めることなんて…できないから…………。


『好きだよ………ロー……』
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