海の世界へ

□口が悪いもの同士
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「だから、てめぇは何度言えば分かるんだ!?」
『何度言われても分かんねぇよ!』



「…また始まったわ。」
「ふふふ、賑やかになりそうね。」













麦わら海賊団10人目のクルー、名無しさん。
ルフィがバーソロミューくまに飛ばされた先で出会った銃の使い手。

エース奪還のため、インペルダウンに向かった時もマリンフォードでの頂上戦争の時も常にルフィの側にいた……


『このクソコックっ!!!!』
「んだと、こらぁ!??」


女の子である……。
見た目はボーイッシュな女の子という印象だが、一度口を開けば、誰もがびっくりするほど口が悪い。

サンジとは、初対面の際に


『メロリンとか、きもちわりぃな。』


と発言して以来、ゾロと肩を並べる犬猿の仲になってしまった。


『ルフィ〜…またサンジに怒鳴られた。』
「でも、名無しさんもわりぃんじゃねぇか?」
『ルフィが言うなら私が悪い。』
「素直に認めやがれってんだ。」
『でも、サンジはそれ以上に悪い。』
「てめぇ……」
「まぁ、いいじゃねぇか。にししし。」


サンジに怒鳴られた名無しさんがルフィに泣きついて、ルフィに諭されるもサンジに悪態をつく。

これが毎日のルーティーンとなっていた。
最初はハラハラしていた他のクルーも、今では慣れたもので誰も止めようとしなかった。


「にしても、何であんたはそんなに口が悪いのよ?」
『何でって言われてもなぁ……』
「品行方正とは真逆だな。」
『黙れ、グル眉野郎。』
「……オロス。」
「ぎゃ〜〜〜〜!サンジ、その足を下ろせ!火を止めろ!」


ナミに聞かれ、改めて自分の言い方について考える名無しさん。
どれだけ考えても思い当たる節は一つしかなかった。


「自分が住んでた場所?」
『あぁ、それしか思いつかねぇよ。』


キッチンでドリンクを飲みながら話す。


「どこに住んでたらそうなるの・・・女の子が・・・」
『私がいたのはスラム街だからな。』
「え!?聞いてないわよ!!?」
『ルフィは何も言ってなかったのか?』
「あいつが言うわけないじゃない!」
『確かに・・・。』


名無しさんは改めて、自分の生い立ちを話した。


『皆の話を聞いて、自分が話さないのはフェアじゃねぇし。私は物心ついた時からスラム街に住んでた。私を育ててくれた師匠曰く、道に置き去りにされてたんだと。』
「そんな…」
『生まれ育った島は、貧富の差がものすごくて両極端だった。私の後にも捨てられる赤子はいたし、そのまま人生を終えるやつもいた。』
「「「………」」」
『そこで生き残っていくためには、自分が女である事は捨てなきゃならなかった。』
「でも…名無しさんは女だぞ!?」
『チョッパー、ありがとな。でも、か弱い女のままじゃ、私はここにはいない。生き残れなかったと思う。』



名無しさんはグラスをぐっと握りながら話を続ける。


『男とは対等、もしくはそれ以上に渡り歩かないといけなかったから、師匠は徹底して私に銃の扱いと体術を叩き込んだ。』
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