第2章:秘密の部屋

□秘密:防衛術
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『…(こんなの分かるわけないし)…』


今アリサは、目の前に配られたテストの回答用紙とにらめっこしている。
どれだけ考えても頭をひねっても、答えが一向に出てこないのであった…そのわけは…



Q.ギルデロイ・ロックハートの好きな色は?



『(あぁ、ちゃぶ台があれば今絶対新記録狙える)』


ロックハートによる防衛術の授業のはずが、開始早々どのくらい本を読んでいるか?自分のことを知っているか?を知る為にテストをすると言い出し配ったテストだった。

何人かが羽ペンを走らせているので、彼のファンが何人かいるんだろうと思ったアリサは隣に座るハーマイオニーを横目で見た…


カリカリカリカリカリカリカリカリカリ


『(めっちゃ書いてる…さすが、ファンと言ってただけあるなぁ。)』


30分があっという間に過ぎ、答案用紙が回収されていく。それをパラパラと見るロックハート。


「残念ですね。答えは全て教科書に書いていたのですが…」
「「「「(全部覚えられるわけないだろう)」」」」


解答率が悪いことに嘆きながらも、全て書けている答案用紙を見つけると嬉しそうに取り出す。


「ミス・グレンジャーはどこですか?あぁ、さすがですね。満点です。」
「///」
「……」


見とれるハーマイオニーを、ロンは開いた口が塞がらないというような顔で見ていた。


「そして、アリサ・ヤシロ!あなたは白紙で出していますね?」
『はい、答える必要性を感じなかったもので。』
「「「「ブフッ…」」」」
「いけませんね。あなたが必要性を感じるかどうか…ではないんですよ?」
『…?』
「これは補習をしないといけませんね。」
『!?』
「夕食後、私の部屋に来るように。」
『……嘘でしょ。』
「さぁ、みなさん!授業を始めますよ!」


アリサが呆然としている中、ロックハートは約束を取り付けることに成功したからか、ご機嫌に授業の準備をしていく。


「魔法界の中で最も汚れた生き物と戦う術を授けるのが私の仕事です。今日は手始めに、ある生物を用意しました。あぁ、どうか叫ばないでいただきたい…こいつらが暴れるからね!」


そういって布をめくると鳥かごの中にたくさんのピクシーが入っていた。


「笑うのは今のうちですよ。ピクシーは厄介で危険な小悪魔…お手並み拝見!」


そう言い終わると、ロックハートは鳥かごの鍵を開け、ピクシーたちを解き放った。
解放されたピクシーたちは好き好きにいたずらを行い、教室をめちゃくちゃにしていく。


『ネビル!』
「た、助けて〜…」


複数のピクシーによって、ネビルが照明に吊り下げられてしまった。


『ロックハート先生、もういいでしょう!?なんとかしてくださいっ!』
「ペスキピクシペステルノミ!ピクシー虫よ去れ!…あ!」


ロックハートが呪文を唱えるも、なんの効果もないどころが杖をピクシーに奪われてしまう。


「君たち!残っているピクシーをカゴに戻しておきなさい。」
『先生っ!…あの役立たず…』


そのまま自室にこもってしまったロックハートは出てくることはなかった。
残されたアリサたちは、飛び回るピクシーから身を守りながら策を練る。


『ハーマイオニー!今から私の言う呪文を一緒に唱えて!』
「何するの?!きゃっ…」
『このままじゃ埒があかない!イモビラスを使うの!』
「なるほど!分かったわ。」

『「イモビラス!!」』

アリサとハーマイオニーの呪文で、教室中を飛んでいたピクシーが全員固まり、カゴに戻された。


「なんで、僕だけこうなの?」


ネビルの一言が静まり返った教室に響いた。


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