第2章:秘密の部屋

□秘密:薬草学と吠えメール
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「やあ!アリサ!」
『げ…』
「ロックハート先生、おはようございます!」
「ミス・グレンジャーもおはよう!」


昨晩のセブルスの忠告を受け、どう躱そうか考えていた矢先に早くもロックハートに見つかってしまった。
隣を歩くハーマイオニーは、本屋の時と同じく目がハートになってしまっており、助けを求めることはできない。


『(絡み早すぎでしょ!昨日、あいさつ終わったばっかじゃん!ホグワーツに何人生徒がいると思ってんだよ!)』


と、心の中で悪態をつくも顔は笑顔をなんとか保っていた。


『お、おはようございます、ロックハート先生。』
「あぁ、今日も白い肌に漆黒の髪がよく映える。どうです?私の部屋でティータイムでも。」
『いえ、教授もお忙しいと思いますので』
「遠慮はいりませんよ!私とあなたの仲ではありませんか!」
「そうよ、アリサ!こんなチャンス滅多にないわ!」
『(いらないよ!こんなチャンス!』


いくら断ろうと全く空気の読め無い男は、アリサが他の生徒に悪いと思って遠慮していると受け取っており、ハーマイオニーの援護射撃もあって話が全然進まなかった。

いよいよはっきり言ってやろうかと思ったその時…


「あなたたち!薬草学の授業が始まりますよ!」
「はい、スプラウト先生!今行きます!」
『では、先生これでティータイムにはお邪魔できませんので申し訳ありません失礼します!』
「あ!アリサ!!」


口を挟ませないよう息継ぎなしであいさつをし、ダッシュで温室へと向かっていく。
そんなアリサを見たロックハートは、


「本当に恥ずかしがり屋な人だ。」


本当に空気が読めていなかった。


「おはよう、皆さん。」
「「「おはようございます、スプラウト先生!」」」
「さぁ、今日はマンドレイクの植え替えを行います。皆さん、もっと寄って。」


「どうしてロックハート先生のお誘いを断わったのよ?」
『いやいやいや!断るでしょ!!私はスネイプ先生ひとす…あ。』
「………ねえ、アリサ?」
『……』
「私の聞き間違いじゃなかったら、あなた今、スネイプ先生一筋って言わなかった?」
『ハハハハーマイオニーの聞き間違いじゃないかなぁ?』
「聞き間違いではないようね。この間の本屋のことも!どういうことか、はっきり聞かせてもらうわよ!」
『わ、分かった分かった!とりあえず、今は授業に集中しようよ!』


思わず口走ってしまったことにより、アリサが思いを寄せている人がセブルスだとバレてしまい、夕食後にハーマイオニーを部屋に招き入れることにした。

とりあえず、今は授業に集中しようと耳当てをつけマンドレイクを感情に任せて一気に引っこ抜く。


『(おのれ、ロックハートめ!!!)』
「キィィィィィィィィ!!!!!」


生徒が順調に植え替えを行う中、またしてもネビルにトラブルが起こったが、それどころではないアリサは構わず植え替えを続けた。


昼食時ーーー


お昼になり、ぞくぞくと生徒が大広間に集まってきた。アリサはこれから起こることを考え、少し離れた席に座ろうとしたが、これまたハーマイオニーに寄ってハリーとロンの所まで連れていかれてしまった。


『(モリーおばさんのお説教、怖いんだよなぁ。)』


席が近づくと、見知った生徒がいた。
ロンの妹ジニー・ウィーズリーだった。


『こんにちは!』
「こ、こんにちは。」
『ロンの妹さんよね?私はアリサ。あなたのお兄さんと同じ寮生よ。よろしくね!』
「私はジニー。よろしく。」


今後のことを考え、軽く挨拶をかわす。
ハリーはコリン・クリービーに写真を撮られ、顔が引きつっている。その様子を何気なく見ていると、ふいにカメラがアリサの方に向き…


バシャリッ!


『え?』
「すみません、先生から先輩の写真を撮るように言われまして。」
『ちょっと待って、それって!』


アリサの顔が青ざめた時、1羽のふくろうが飛んできた。


「!!?…ママからだ…」
「見ろよ!ロンに吠えメールが届いたぞ!」
「早く開けて見ろよ、ロン。」
「……」
『ぁ〜…』


震える手でメールを開封するロン。
アリサはそっと自分の耳に手を当てた。


ロナルド・ウィーズリー!!!!!
車を盗むなんて何事です!!!!
お父さんは役所で尋問を受けてますよ、それもみんなお前のせいです!!!
今度ちょっとでも規則を破れば、家に引っ張って帰りますからね!!!!!!
あぁ、ジニーちゃん。グリフィンドールおめでとう。パパもママも鼻が高いわ。


大広間中に響き渡る声でメールからロンのお母さんの声がした。
ロンは固まり一言も発せないでいる。ジニーはやめてくれと言わんばかりに、恥ずかしそうな迷惑そうな顔をしている。


『ロン、お疲れ。』


メールはビリビリに破れ、その残骸がロンの目の前に広がっていた。


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