第2章:秘密の部屋
□秘密:全ての始まり
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『はぁ〜、ついにこの日が来ちゃったよ〜…』
セブルスに真実を打ち明けてから数日後、ハーマイオニーからお誘いのフクロウ便が届いた。
ー一緒に新しい教科書を買いましょ。その後にお茶でもどうかしら?来週の水曜日にダイアゴン横丁の本屋で待ってるわね。 ハーマイオニーー
アリサに拒否権がないかのような書き方で、行かざるをえない状況に深いため息が出てしまう。
そう、来週の水曜日はあいつが本屋に来る日だった。
ハリーがダドリー家から脱出し、ロンと一緒にウィーズリー家にお世話になってる…ロックハートのことだけではなく、ルシウスとロンのお父さんとの喧嘩も起こる日…
どう考えても行く気は起こらなかった。
『喧嘩よりも、ロックハートが来る日に行きたくないよぉ〜〜!』
家中に響き渡る声で叫んでも、何かが変わるわけではなかったが、叫ばずにはいられないアリサだった。
コンコンコンー
ふいにドアが叩かれ、聞きなれた声でドアの向こう側から聞こえてきた。
「校長からの預かり物だ。」
『スネイプ先生〜〜〜!』
「……なんだ…」
『いや、そんなあからさまに嫌そうな顔しないでくださいよ…さすがに傷つきます…』
「確実に良くないことが起こる予感がしたのでな。」
『来週の水曜日、私と一緒にダイアゴン横丁に行ってください!』
「……それが人に物を頼む態度かね?こんな玄関先で」
『ささ、どうぞ!中に!今、お茶でもいれます!!』
「……邪魔する。」
あまりの必死さに少し押され気味のセブルスだったが、とりあえず話を聞いてからと中に入った。
すると、目の前にティーセットが現れる。
「少しは上達したようだな。」
『先生のご指導の賜物です。』
「何を企んでる?我輩は忙しい。」
以前にも聞いたことのあるセリフとともに、するどい視線がアリサに向けられる。
おずおずと正面に座り、事の顛末を話す。
『実は、ハーマイオニーから教科書を一緒に買いに行こうと言われまして…』
「それのどこが問題だ。」
『大問題です!来週の水曜日なんですよ!その日は、ギルデロイ・ロックハートのサイン会があるんですよ!』
「それで?」
『あの胡散臭い笑顔と、嘘だらけの肩書き!スネイプ先生と同じ教授職に就くだけで勘弁なのに、個人的な接触のあるサイン会なんて行きたくありません!
「胡散臭いには同感だな。だが、我輩が同行する理由にはならん。」
『それに…ドラコ君のお父さんも来るんです…で、ロンのお父さんと喧嘩になって…』
「何?」
ドラコの父、ルシウス・マルフォイの名前が出ると、セブルスの眉が少し動いた。
「同行しよう。面倒くさいことになる可能性が高い。」
『で、ですよね。』
「特に貴様は、数少ないアジア人である上に、例のあの人との戦いもドラコの口から伝わっているだろう。」
『はぁ…』
「十分、興味を抱く対象だ。」
『…やっぱりですか…』
「教科書だけだ。それだけ同行してやろう。」
『あ、ありがとうございます!』
まさかの同行発言に、アリサは深く頭を下げて感謝の言葉を告げる。それほどまでに、嫌だったのだ。映画の中で見る彼を非難するわけではないが、受け入れられないのだった。
だが、いいことだけではない。
「新学期が始まったら1ヶ月の補習を行う。在庫室の掃除と管理だ。」
『……鬼だ…』
「今なんと?」
『いえ、ありがとうございます!』
「ふん。」