第1章:賢者の石

□賢者:調合と警告
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『……はぁ…』
「貴様から願い出た調合にため息をつくとは、そんなにつまらんかね?」
『あ、いえ…これは調合への意味じゃなくて…』
「なら、何だ?」



無意識に出てしまったため息に、スネイプはチクリと嫌味を言うも、本人の耳に届いていないのか何ともはっきりしない返事が返ってきた。



『最近、クィレル先生からお茶の誘いが多いです…。』
「何?」



アリサの口から出たクィレルと言う名前に反応する、スネイプ。



『日本に興味があるみたいで…わっ!』
「奴には近づくな。」
『せ、先生?』



急に詰め寄ってきたスネイプにびっくりして、思わず1歩下がってしまった。



「いいから、近づくな。」
『ハイ…』



相変わらずカッコイイな、コノヤロウと思いつつも、あまりの迫力にアリサはただ返事をするしかなかった。



「続けたまえ。」
『…おできを治す薬もなかなか難しいですね…』
「魔法薬はとても繊細だ。雑念を持っていては到底作れん。」



その後、何とか完成させたアリサは後片付けを済まして教室を後にした。

もうすっかり日は沈み、あたりは暗闇に包まれていた。



『夜のホグワーツって、本当不気味だなぁ…しかも、ゴーストもいるし……出会わないうちにさっさと帰ろう。』



早歩きで廊下の角を曲がった瞬間、誰かとぶつかってしまった。



『いった…すみません、よく前を見ていなくて…』
「こ、こちらこそ…」
『げっ…あ…』



何と、ぶつかったのはクィレルだった。
アリサは思わず出てしまった言葉に、口に手を当てて彼を見る。

クィレルもまた、胸元を押さえていた。どうやら頭がみぞおち辺りに当たってしまったようだった。




『ク、クィレル先生!すみませんでした…失礼しま!?』
「そう慌てなくてもいいでしょう。お茶でもどうですか?」
『あ…先生、どもってないんですね…』



すぐに踵を返そうとしたが、クィレルに腕を掴まれ叶わなかった。それどころか、クィレルから出てきた言葉はどもっておらず、怖いくらいの笑顔で返され、アリサはそのまま引きずられるように防衛術の教室へと連れて行かれた。

アリサは防衛術の教室につくと、座ってなさいと言われ、クィレルは奥へと消えていく。



『(やばいやばいやばいやばい。先生、声どもってなかったし、怖いくらいの笑顔だったし……スネイプ先生との約束破るしーーー)』



アリサが内心テンパっていると、奥からトレーを持ったクィレルがやってきた。



「どうぞ。飲みなさい。」
『…あ、ありがとうございます。』
「さて…ミス・ヤシロ…」
『な、何でしょうか…』



改まって言葉を紡ぐクィレルに、ついに正体がバレたのかとカップを持つ手に力が入る。しかし、次に出てきた言葉は意外なものだった。
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