短い時の中へ
□危険人物につき要注意
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『スーネイップ教授♪!』
ドンッ!ーーーー
「「「「「「「え…?」」」」」」」
ホグワーツ魔法魔術学校。
ここには全校生徒が恐れおののくと言っても過言ではない人物が存在する。
彼の名はセブルス・スネイプ。
ここホグワーツの魔法薬学の教授である。冷血無慈悲として知られる彼には、好んで近づく者はいないというのに、ただ1人…そんな彼をものともせずに近寄るどころかタックルする生徒がいた。
アミ・ヤマグチ。
グリフィンドール3年生の生徒だ。
スネイプの授業を始めて受けた時に衝撃を受けてから、何かと絡んでいくようになった。
最初は挨拶程度だったものが、3年にあがってからは遠慮なく抱きつく…という名のタックルをかますまでになっていた。最初は激怒していたスネイプも、いくら罰則を与えようと懲りないアミに半ば諦め始めていた。
周りの生徒…とくにグリフィンドール生は最初は引き剥がしていたものの、スネイプからとばっちりをくらうため、今は遠くから眺めているだけとなっていた。
「ミス・ヤマグチ。貴様には何度罰則を与えたと思っているのかね?」
『分かりません!スネイプ教授の罰則なら、喜んで受けます!!さぁ、今回の罰則はなんですか!?』
「……禁じられた森に生えている薬草摘みだ。」
『了解しました!授業が終わったら、執務室まで詳細を聞きに伺いますね!』
ここまでのやり取りを、アミは抱きつきながら行っている。もちろん、スネイプも引き剥がそうと腕全体を使って押しのけているが、手が全く離れない…なんとも不思議な状況になっていた。
「ヤマグチ!スネイプ先生から離れなさい、みっともないですよ。」
『あ、マクゴナガル先生!……すみません。』
「まったく…いい加減になさいな。」
「ミネルバ、助かった…」
いい加減どうしたものかと思っていた所に、ちょうどミネルバが通りかかり、なんとか離れることが出来た。アミは母のようなミネルバには弱く、すんなりと言うことを聞く。
「さぁ、もうすぐ授業が始まりますよ!ぼさっとしてないで移動しなさい。」
ミネルバの言葉で、硬直状態だった生徒たちが移動し始める。アミもハーマイオニーやロン・ハリーたちとその場から去っていった。
昼食ーーー
「アミ、あなたちょっと度が過ぎるわよ?」
『え?』
「スネイプに対してさ!こっちまでヒヤヒヤしちゃうよ。」
「あぁ、心臓に悪いね…」
『ハリーにロンまで…』
昼食を大広間でとっていると、ハーマイオニーからお叱りを受けるアミ。最初はあのスネイプにタックルをする勇者として扱われていたが、今となっては会う度にして罰則・減点をくらうアミに、同じ寮生も呆れていた。
『いいじゃない。減点されてもその分取り返してるんだし…』
「そういう問題じゃないわ!そもそも、生徒らしくしていれば減点なんて滅多にないもの!」
『ハーマイオニーがそれ言う?』
「…っ、あなたは毎日よ!?スネイプに会う度に減点なんだから、そろそろ目を覚ましなさいな。」
「僕もそう思うよ、スネイプの肩を持つなんて嫌だけど、今回ばかりはね…」
「ハリーに賛成。」
『な、何よ…』
「よく考えることね。人前で抱きつかれて、あのスネイプが何も思わないわけないじゃない。」
『……』
昼食以降、アミはハーマイオニーに言われたことを考えていた。何だかんだで邪険な扱いをしないスネイプに甘えていただけなのかもしれない。他の生徒には見せない姿を自分には晒してくれる…特別なんじゃないか…
いや、違う……
『みんなの前で恥ずかしい思いをする…スネイプ先生のプライド……わたし、全然考えてなかった……』
ここにきて、やっと周りの言うことが理解出来たアミは、今までの自分の行動を恥じた。