短い時の中へ

□葛藤
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あなたにスネイプ先生の隣にいる資格はないわ。



















『はぁ…』
「アミ、またなの?」
『うん…』
「全く、一体何を考えてるのかしら!」


アミ・ヤマグチ。
グリフィンドール2年生の彼女は、ある悩みを抱えていた。


「アミとスネイプの仲を裂こうなんて、私が許さないわ!」
『ちょ、ハーマイオニー声が大きいって!それに、私スネイプ先生とは何も!』
「おいおい、朝からスネイプの話なんてやめてくれよ。」
「なによ、ロン?」
「いや、何でも・・」


アミは、魔法薬学教授であるセブルス・スネイプに好意を抱いていた。
入学した時に一目惚れしたアミは、時間をかけて少しずつスネイプとの距離を縮めていた。

もともと実家の能力のこともあり、ハリーと同じく保護対象になっていたため、スネイプも他のグリフィンドール生よりかは冷たくあしらわなかった。


「我輩の説明が悪いとでも?」
「それで授業を聞いていたのかね?」
「ふん、基礎が分からぬのであればこれ以上は時間の無駄だ。」


側から聞けば、冷たい部類には入るのだが、スネイプに恋い焦がれているアミにとっては、痛くも痒くもなかった。

そして、熱心に授業を聞き懲りずに毎回質問にくるアミに、スネイプも少しずつ慣れていき、2年の初め頃には、執務室内ではあるが紅茶を飲む仲になっていた。

しかし、それと同時にスリザリン生からすれ違い様に嫌味を言われるようになった。


「いい気にならないでよね。」
「日本人が取り入った所で無駄よ。」
「私たちの教授を汚さないでいただけます?」


などなど。
最初は聞き流していたアミだったが、ことあるごとに言ってくるため参っていた。


「アミも言い返してやりなさいよ!」
『無理だよ〜。だって、私とスネイプ先生の繋がりなんて、授業くらいだもん…。それに、私よりスリザリンの先輩たちの方が魅力的なのは間違いないし…私ちんちくりんだし…』
「チンチクリン?…よく分からないけど、アミも十分魅力的よ?負けちゃダメ!」
『うん、頑張るよ。』


食べ終わった2人は、授業の準備をするために寮へと戻った。その間も、アミの頭の中はスネイプのことでいっぱいだった。


『よりによって、最初からスネイプ先生の授業だなんて…』


アミは重い足取りで、地下にある教室へ向かう。ハーマイオニーはマクゴナガル先生に用事があるからと、先に行ってしまい1人で行かなければいけなかった。


『ぇ…嘘でしょ……』
「あら、ヤマグチさん。ごきげんよう。」


前から歩いてきたのは、嫌味を言ってくるスリザリン生だった。しかも、取り巻きまで連れておりアミを取り囲むようにして止まった。


「これからスネイプ先生の授業なんですってね?」
『はい…』
「いい加減、スネイプ先生の邪魔になっていることに気づかないかしら?」
『……。』
「これだけ言っても分からないのであれば、体に教えてさしあげるしかないわね。」
『!?何を………』
「大人しくしてなさいよ!」


その言葉を合図に、取り巻きたちがアミの腕を掴み、セーターごと袖をまくった。


「あなたにスネイプ先生の隣にいる資格はないわ。もちろん、執務室に行くこともね…思い知りなさい。」
『…!?……いっ!…』


スリザリン生は杖を取り出し、アミの腕に杖先を這わせた。すると、激痛と共に文章が浮かび上がってきた。


ー私はスネイプ先生を惑わす女ー


『ぁっ…そ、そんな……』
「これで、自分の腕を見るたびに思い知るでしょう?可哀想に、腕まくりも出来ないわね。」
『ぃや……』


アミがしゃがみ込むと、スリザリン生は高笑いしながら去っていった。
どれくらいその場にいたのだろうか、静かに立ちあがったアミはそのまま教室へ向かった。
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