第1章:賢者の石
□賢者:ハロウィン
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ー先生も同じなんじゃないんでしょうか?ー
前にアリサから言われた言葉を思い出す。あの時も、校長と同じようなことを言われた。
「セブルス。目を覚ましたら聞くといい…そして、知るのじゃ。ポピーには儂から言っておこう。」
「……」
校長が出て行った後しばらくして
アリサが目を覚ます。
『……せん、せ…?』
「気がついたかね。今回は出血多量だ。」
『……私、また…やらかしたんですね…』
気がついたアリサは、目の前にいるスネイプに驚かなくなった。
また医務室に運び込まれ、今回は大量の出血があったことを聞いたアリサは力なく笑う。
「なぜ、笑っていられる?」
『…先生?』
「なぜ、そこまで己を犠牲にする?」
『それは、先生も同じでしょう?』
スネイプは強い眼差しを向けてくるアリサを見て、ダンブルドアの言葉を思い出す。
「お前は何を知っている?」
『え…』
「その目で何を見ている?」
『……』
アリサはスネイプのストレートな質問に黙ってしまった。それは、肯定しているようなもの…スネイプの疑問は確信に変わる。
「何かを知っているようだな…校長が、お前から聞けと…我輩に知ろと言ってきた。」
『…ダンブルドア先生が…』
「もう一度聞く。何を知っている?」
アリサはもう隠し通すことは無理だと思い、ありのままを話し出した。
『…私は、この世界の人間ではありません。』
「何?」
『そして、この世界の未来を知っています。』
「そんな、バカなことが…」
アリサの話しを信じられないスネイプは、顔をしかめる。
『信じられないのも当然です。ですが、私がここにいるのも事実です。ネビルが先生の授業で爆発させるのも、フーチ先生の授業で箒が暴走するのも知っていました…ハロウィンの日のトロールも…。』
「……」
普通の1年生では気づかないような所に気づき、ミスにはいち早く気づいて対応していた…。
最初は信じられなかったスネイプだったが、アリサの話しを聞くうちに、今までの行動に合点がいった。
「どこまで知っている。」
『曖昧な所もありますが…ハリーがここを卒業した、その先まで…』
「……」
『やっぱり、信じられないですよね…』
「その話は、我輩とダンブルドアだけにしろ。」
『え?』
「お前の記憶は、名前を言ってはいけないあの人にとって、とても有利な情報になる。」
『信じて、くれるんですか?』
「今までのお前の発言や行動を見ていたら繋がった。」
『あ、ありがとうございます!』
「それに、迂闊な行動はするな。」
『はい。』
スネイプに信じてもらえたアリサは、体全体を使って喜びたかったが思うように動かないため満面の笑みでスネイプを見た。
「なんだ、そのうっとうしい顔は。」
『うっとうしいって…スネイプ先生に信じてもらえて嬉しいだけです。』
「ふん、物好きだな。」
『何を言われても気にしません。』
「明日には退院出来ると聞いた。罰則もまだ未消化だ。精々頑張りたまえ。」
『うげ…ちなみに、免除は…』
「ない。」
『デスヨネ。』
話が終わると同時にマダム・ポンフリーが戻ってきたため、スネイプはさっさと出て行ってしまった。
1人ベッドに横たわるアリサは、これから起こることを思い出していた。自分の発言や立ち回りなど…今まで以上に慎重にならなければいけなかった。
一難去ってはまた一難。
新たな事件が起ころうとしていた。