第1章:賢者の石
□賢者:ハロウィン
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「きゃあ!」
『…ぐっ…』
ハーマイオニーをかばい、トロールの攻撃をもろに受けてしまったアリサは床に倒れる。
「アリサ!しっかりして!」
『……』
殴られたところから血が溢れ、どんどん血だまりを作っていく。
「ハーマイオニー!!」
「アリサ!?」
ハーマイオニーがもうダメかと思った時、ハリーとロンが駆けつける。
「ビューン、ヒョイよ!」
「ウィンガーディアム・レビオーサ!」
ロンの呪文により棍棒が自らの頭に当たったトロールは、そのまま前のめりに倒れた。
気絶したのを確認したハリーとロンは、ハーマイオニーとアリサの元へ駆け寄ろうとしたが、マクゴナガル・スネイプ・クィレルが入ってきたためその場にとどまった。
「まぁ、これは何事ですか!?」
「私のせいなんです!…教科書で見てトロールを倒せると思って。」
「「……」」
マクゴナガルたちにどう言い訳をしようかと考えていると、ハーマイオニーが口を開き、自分のせいだと言う。
「あなたには失望しました、グレンジャー。その愚かな行為に対して5点減点です。野生のトロールと戦い生き残れる1年生はそういないでしょう。あなた方の幸運に対して、5点ずつ差し上げます。」
「先生!アリサが!アリサがトロールに攻撃されて…」
「何ですって!?」
「ヤシロ!!」
ハーマイオニーをよく見ると、その腕にアリサの姿があった。出血を抑えるためにローブで包まれており、一瞬分からなかった。
スネイプは素早く近寄ると、抱きかかえてトイレを出て行く。
「セブルス、ヤシロを医務室に!」
「分かっている。」
「ヤシロ…」
「…」
すれ違いざま、クィレルがアリサの名前をつぶやいたことに疑問を感じたスネイプだったが、今はそれどころではなく急いで医務室へと連れて行った。
「とにかく、あなた方は寮へお戻りなさい。後はクィレル先生に任せます。」
「さ、さぁ、3人とも…い、行きなさい。」
マクゴナガルとハリー・ロン・ハーマイオニーがトイレからいなくなると、アリサがいた場所に跪く。
「ヤシロ…どうして警告を無視したのですか。」
医務室ーーー
「マダム・ポンフリー。ヤシロの容体はどうだ?」
「幸い命に別条はありません。この薬を投与して1日すれば大丈夫です。」
「そうか。」
「私は少し席を外しますから、その間様子を見てくださいますか?」
マダム・ポンフリーの処置のおかげで大事には至らなかったが、出血が多かったため点滴で増血作用のある薬を一晩中投与することになった。
「お前は、なぜこうも事件に巻き込まれるのだ。」
『……』
「お前は何を知っている…何を見ている…」
「それは本人の口から聞くのがよかろうて。」
セブルスが後ろを振り返ると、ダンブルドアが立っていた。
「校長…何か知っているのですな。」
「儂も多くは知らん。この子だけの秘密じゃ。」
「……我輩には分かりかねる。なぜこうも、己が傷つくのを分かっていながら首を突っ込むのか。」
「セブルス、その気持ちはお主が一番よく分かっておるじゃろうて。」