小説エゴイストA
□着信履歴の一番上
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宮城教授と共に参加している近隣大学の文学関係者が集まる飲み会は
忘れた頃にやってくる。
講演会後や季節の節目、誰かの転勤が決まった時など
タイミングや集まる人数もその時々でまばらだ。
今日は尊敬する教授ばかりで緊張するし気を使うんだよなぁ。
それでも好きな物が同じだから話は弾む。
気を使いつつ楽しみつつ会話をし、何事もなく時間は過ぎていった。
一人一人に挨拶をして全員を見送り帰路につく。
こんな時、唐突にあいつの声が聞きたくなるんだ。
カバンから携帯を取り出して電話帳ではなく、着信履歴の画面を開く。
着信履歴の一番上はあいつの特等席だ。
あいつの携帯の着信履歴に俺はどれくらい存在しているのだろうか?
電話しようかな…
でも何を話すんだ?