小説エゴイストA
□束の間の
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部屋着ではあるもののベッドにうつ伏せになって
電気も消さず寝ているのは疲れている証拠だ。
しゃがみこんでベッドの端に頬杖をつく。
お前はいつも俺を誉めてくれるけどお前だって…
艶のある黒髪に優しさがにじみ出ている目元。柔らかい頬。
けっこう睫毛長いんだな…
あ、意外と耳は小さい…
眠っているのを確認してから野分の一部に触れていく。
こうしてじっくり野分を見るのは初めてかもしれない。
いつもはこいつが俺を見るから目をそらしてばかりだった。
触っている事に気付かないほど熟睡してるなんて…
「疲れてるんだな」