小説エゴイストA
□年上の威厳
1ページ/8ページ
「なぁ野分、このソファいいな」
「本当だ、カーペットもこれに合わせたくなりますね」
久しぶりに休日の重なった一日。
特に目的もなく入ったのはインテリア店。
既に一緒に暮らしているが、ここにある家具に囲まれて生活する二人が想像される。
何より周りの人たちに「俺たちは一緒に暮らしているんですよ」とアピールできるのが良い。
「いらっしゃいませ。よろしければ座り心地をお確かめ下さい」
俺たちより年上らしき店員さんがにこやかに声をかけてきた。
「あ、はい。ありがとうございます」
促されるまま二人で腰掛けてみる。
「見た目より幅があるな」
「そうですね。二人で座ってもこんなに余裕があるなんて」
ヒロさんと密着できないから却下だ。