小説エゴイストA
□ごめんと言うより好きだと言って
1ページ/15ページ
どうして宮城教授は使った資料を元の場所に戻さないんだろうか?
特に一番上の棚は宮城教授の目線に合うのか乱雑ぶりがひどい。
いや、きっと宮城教授にとっては見やすい並びになっているのだろう。
呆れながら資料を並べ直していく。
「失礼します。
上條先生、中央書店さんから荷物が届いてます」
小さな段ボール箱を抱えて事務員さんがノックの音と共に入ってきた。
「わざわざすみません、資料の整理してて手が離せないので
手前の机に置いてもらえますか?」
片手で整理した資料を支えながら、もう片方で宮城教授の机にある残りを並べていく。
「はい、…あの、ところで…」
「はい」
「時々上條先生に会いに来る人いますよね?」
「時々会いに来る?」
「あの、背が高くて黒髪で…」
「あー…」
野分以外考えられない。
「付き合ってる人いるんでしょうか!?」
ガタンっ
「上條先生!?」
「…すみません、バランス崩しました」
せっかく整理した分まで見事に落としてしまった。