拍手お礼文SS

□拍手お礼文3
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「宮城」



「何だ?」



「俺、免許を取ろうと思ってるんだけど」



唐突すぎる言葉に読んでいた雑誌から顔を上げる。



いくつかの自動車教習所の冊子を片手にしている所を見ると、
忍の中では唐突でも思いつきでもないようだ。



「何だ?どうした急に」



「別に。あったら便利かな、って」




「そりゃあったら便利だが…」




周りの人間からしても便利だと思われるだろう。



雨が降ってるから送って欲しいとか車で旅行行きたいとかそんな事を言ってくる女も男も出てくるはずだ。




「あったら便利、って事はなくても困らないとも言えるだろ?
その程度なら何も今免許取らなくてもいいじゃねーか。
金もかかるし時間もかかるんだぞ」



何よりお前が免許取ったら何かと迎えに行く理由がなくなるだろうが。



それに…誰かを助手席に乗せる事になるんだぞ?



「そうだけど!……
…バイトして金貯めるし勉強もちゃんとするから」



引き下がる気配がないな…まさか助手席に乗せたい奴がいるのか?





「ダメだ」


「何でだよ!?」


「何でもだ」



「だって宮城は持ってるのに!」


「そりゃ俺は『あったら便利』じゃなくて『必要不可欠』だったからな」



「俺だって…」



「何だ?」



「宮城と出かけた時とか交代で運転したいし宮城が飲み会行っても迎えに行けるだろ?
宮城に何かあったら病院連れて行きたいし…
それに宮城がー」




俺の名前ばかりだな…


忍が助手席に乗せたい奴って…



「わかった」



「じゃあ、来月から




「でもダメだ」





だから何でだよ!!」

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