異小説
□そして何度でも惹かれあう
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産まれた時から俺の運命は決まっていた。
他の選択肢を知る術はなかったしこの運命に抗うつもりもなかった。
「それでは来月の新作発表会はこの段取りでよろしくお願い致します」
「こちらこそ。詳細はまた後日に」
打ち合わせを終えて待機されていた車に乗り込む。
「今日はこれで終わり?」
後部座席に座ると同時に運転手兼世話係に確認する。
「はい、このまま宿泊先のホテルまでお送りします」
「腹減った…なぁ、ファミレスって所に行ってみたい」
「ホテルに食事の手配をさせてありますので今しばらくお待ち下さい」
「あ、あの交差点の角にあるやつ。コンビニとか言うんだよな?」
「私にはわかりかねます。こちらが明日のスケジュールです」
いつもの会話。
俺が一人で行動できるのは家の敷地内だけ。
防犯の為とどこへ行くにも護衛をつけられるが、
きっと本当は外の世界で選択肢を見つけないように監視しているのだろう。
俺が外の世界を知るのは移動時の車の窓越しから見る景色だけだ。