異小説
□ファーストキス
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「なぁ野分、いつになったらモデル以外の仕事してくれるわけー?」
「……津森さんには何度も言ってますが演技とか歌とかそういうの苦手なんです。
マネージャーの立場から見てもわかるでしょう」
「まぁなー、ってもオファーがきてる間が華だぞ」
「……考えておきます」
って考えるまでもない。
こんな俺をここまで成長させてくれた津森さんには感謝してる。
大学の文化祭でスカウトされ、学業を優先したいという
俺の意思を尊重して仕事をさせてくれた。
少しずつ仕事も増え始め、同時にモデル以外の仕事も依頼が増えた。
喜ばしい事だが、そもそも人前に出るのが得意ではないし
俳優や歌手を目指しているわけではない。
中途半端な事はしたくないし目指しているものは別にある。
大学をきちんと卒業する事。
医療系の仕事に就く事。
そして、
好きな人のそばにいる事。