リクエスト
□明日は大荒れの天気です。傘を持たずにお出かけ下さい
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…………どうしようここまで着いてしまった。
俺の方が思ったより早く待ち合わせ場所に着いたので、
宮城からの連絡を待ちながら少しずつ進んでいたら宮城の大学まで来てしまった。
あまりこっちに来るなと言われていたけど
宮城が待ち合わせ場所に行く手間が省けるし、要は大学内に入らなきゃいいんだろ?
この近くの店にでもいればすぐ会えるから適当な所を探そう。
でも、ちょっとだけ見たいな。
仕事中の宮城はいつもと雰囲気が違って未だにドキドキする。
ここから見えないかな…
正門前から中が見えるわけないのにきょろきょろしてしまって
「あ、すみません」
周りを見てなかったから誰かにぶつかってしまった。
「いや、あ」
「あ」
顔を上げた瞬間、わずかの間があった後いきなり腕を掴まれる。
「えっ!?あの」
「立ち話もなんだから乗りなさい」
高橋くんの同居人で、多分付き合ってる人で、確か作家で宇佐見先生?だったよな。
後部座席に押し込まれ、運転席に乗り込んだかと思った瞬間には既に車は走り出していて…
どんどん大学が遠ざかっていく。