小説エゴイスト@
□前髪
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「ヒロさん髪伸びましたよね」
無意識に髪を触っていたらそんな事を言われた。
「かもしんない。最近本が読みづらいとは思ってたんだよなぁ」
「切った方がいいですよ。目に入ったら大変です」
「大げさなんだよ。つーか前髪切るだけで行くのもヤダし」
相変わらず過保護な事言うよな…
「あっ!じゃあ俺が切りますよ」
「えっ、お前そんな事できんの?」
「草間園にいた時、俺が子供たちの髪を切ったりしてたんですよ。
ハサミ持ってきますね」
いそいそと自分の部屋に行き、ハサミとクシを持って来た。
昨日郵便受けに入っていた折り込みチラシをテーブルに広げる。
「じゃあヒロさん、座って下さい」
「…切りすぎんなよ」
前髪を少し切るだけなら失敗しないよな?
何だかんだでけっこう器用だし…
不安になりながらも椅子に座り目を閉じた。