小説エゴイスト@
□一番におはようを
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いつも通りの日曜日の朝のはずが息苦しさから目が覚めた。
(何だこの圧迫感は…つーか苦しい)
全身の身動きが見事に封じられている。
こんなに加減を知らずに自分を抱き締める人間は一人しかいない。
(いつ帰ってきてたんだ?ここで寝てるという事は今日は夜勤か休みなのか…)
どちらかが早く起きなければならない日は遠慮して別々のベッドで眠っている。
わずかな隙間から頭を動かして上を見上げる。
リズムの良い寝息と身体から伝わる匂いに安心する。
腕をゆっくり伸ばして頬に触れた。
そのまま指先を移動して唇をなぞるように触れる。
パクっ
「うわっ!何!」
指をくわえられたまま目が合った。
「ただいまとおはようです」
「…起きてたのかよ」
「はい、今起きました。目が覚めて一番にヒロさんにおはようが言えるって幸せですね」
「…あぁそう」
「今日は俺、夕方まで時間あります。ヒロさんは?」
「俺も時間あるけど、ってとりあえず寝ろ!
疲れてんだし昼に起きても夕方まで時間あるし…」
「ヒロさんがいなきゃ寝れません」
「わかったから。俺も寝るから」
そう言うと嬉しそうにキスをして
俺を抱き締めながら目を閉じた。
目が覚めたら何をしようか
再び眠気に襲われながらそんな事を考える。
まずはおはようだな。
それから俺たちの一日を始めよう。