小説エゴイストA

□あなたがキレイと誉めるから
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宮城教授行きつけの古本屋。




俺が知っている古本屋の中でも品揃えは豊富で店主の人脈も幅広い。





たてつけの悪いドアを開ける。


お世辞にも綺麗とは言えない狭い店内。
天井まで届きそうな本棚の中には洋書の隣に植物図鑑があったり
大きさやジャンルが不揃いに並べられている。



店主にしかわからないこだわりがあるのだろう。





「すみません」





「はい。あ、上條先生。お世話になっております」




人柄の良さがにじみ出ている紳士的な店主が出迎える。


宮城教授の父親世代より上の世代くらいか。




「こちらこそいつもお世話になっております。

本日は宮城教授が急遽会議が入ってしまいまして代理で資料を受け取りに伺いました」






「そうなんですか、今資料をお持ちしますので掛けてお待ち下さい」




カウンターの隅にある古びたソファに座り、目の前のテーブルに山積みされている本の背表紙を眺める。




「お待たせしました」




「いえ、いつもありがとうございます」




「すみません散らかってて。これらは今朝届いたばかりで検品中だったんです。
もし気になる物があれば急いで検品しますよ」





「えっ、いいんですか?」





結局、店主と談笑しながら講義に間に合う時間ギリギリまで吟味させてもらった為
大学へ戻ると宮城教授の机に資料を置き、すぐに講義室へ向かった。
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