火の狭間
□第六章
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36.私が二人を
日も沈み、元から木の影であまり明るくは無かった森は更に暗くなっていた。
とある大木の陰に、先までの大蛇丸との戦闘で傷ついたナルトとサスケをどうにか運び込んで寝かせ、サクラは二人の看病に専念していた。
「ぐっ…」
熱が出ているサスケの額当てを外し、水で濡らしたタオルを当ててやる。
(だんだん呼吸は整ってきたけど…)
そっとサスケの顔に手をやり、容態を見た。
手の平から、サスケの顔の熱さが伝わってくる。
(でもまだすごい熱…)
サスケの横には熱は無いものの、気絶しているナルトが横たわっていた。
私が…二人を守らなきゃ…!!
固く決意をし、寝まいと頬を軽く両手で叩いた。
あの大蛇丸ってやつと戦ってから…サスケくんは変な痣を付けられるし…ナルトは気絶…。
なまえ…あんたどこにいるの…?
「…あ!サクラ!!」
「………!!」
草むらの音に気づき、サクラはとっさに振り返った。
「…やっぱサクラだぁ!!良かった会えた!!」
「…ま、待って!合言葉!!」
「…へ?…あ、えっと…忍歌だっけ」
「そう、忍歌『忍機』」
「た…大勢の敵の騒ぎは…なんだっけ、忍びよし?何とかな方に、隠れ家もなし………次なんだっけ?」
「……なんかもういいわ」
「あ、良かった」
どうにか思い出そうとしているあたり、多分なまえだろうとサクラは判断した。
なまえは数歩歩き、木の隠で先ほどまで見えなかったナルトとサスケを見つけた。
「……え…二人ともどうしたの!?」
「…私達を突風で襲ってきた忍と、戦ったの」
「……………!!」
「ナルトはそいつにやられて気絶…サスケくんは変な痣を付けられて…」
その言葉に、とっさになまえはサスケの首筋を見た。
なるほど。
アンコさんと同じ…"天"のだ。
「サクラ…ごめん、一人にして」
「ううん…それよりなまえこそ、身体大丈夫?」
「あぁ、急いで来たから木の枝とかで擦っちゃっただけ」
なまえは自身の傷だらけの身体を見ながら、そう答えた。
本当は、アンコさんを暗部が来るまで守っていたから、多少動物とかと戦ったからなんだけどね。
どこまでサクラに話すべきか決めかね、今は言わない事にした。
「ナルトとサスケくん、サクラの傷を今から手当てする」
「え?でもなまえだってチャクラが…」
「大丈夫大丈夫」
そう言って、なまえはまずナルトの治療を始めた。
しかし、案外ナルトは簡単な治療で済みそうだ。
(大蛇丸とやり合って気絶ぐらいで済むなんて…)
あのでかい蛇をやっつけたくらいだし、ナルトって本当はけっこう強いのかもしれない。
「はい、次サクラ」
「あ、ありがとう…」
サクラも目立った外傷もなく、治療はすぐに終わった。
「なまえ…医療忍術出来るのね」
「まあ、そのために里抜けて修業してたようなもんだから」
「…そうなんだ」
続いてサスケの隣に行き、容態を見る。
「………………」
アンコさんより酷い…
当たり前か、封印術も何もされていないのだから。
「サスケくんがこうなってからどのくらい?」
「確か5時半くらいだったから…もうすぐ5時間くらいかな」
「5時半か…」
てことは、アンコさんと大蛇丸が対時して私が大蛇丸に会ったのは6時より後くらい…
今は夏だし、そのくらいか。
「サスケくんのこの痣は私でも治せない。とりあえず鎮痛しておくね」
「うん…」
「………………」
死ぬ確率があるとか、それは言わないでおこう。
なにせサクラはサスケくんの事が…。
「サクラ、あんたは休みな。チャクラ回復しておいた方がいい」
「なまえは?」
「私も…まあ、少しは寝るから」
多分寝れそうにもないけど。
…なんだか嫌な予感がする。
「後で交代するわね、なまえ」
「うん、…おやすみサクラ」
サクラは疲れているのか、すぐに眠りに入った。
男二人を運んだりと、相当疲れたんだろう。
「…ありがとね…サクラ」
私もほんの少しだけ、眠りについた。