火の狭間
□第六章
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34.大蛇との遭遇
なまえ同様、森の中を駆け抜ける者がいた。
(もう夕刻だわ!!)
第二次試験試験官の、みたらしアンコである。
こちらは危険因子を滅しようと、なまえとは違った意味で急いでいた。
(しかし…いったい今頃なぜアイツが…目的は何…!?)
木から木へと飛び移り、思考錯誤を続ける。
(…まあ、いいわ…この里に来たのなら、今日ここでケジメをつける!)
アナタはもう…手配書レベルSの超危険人物…
(とにかく要請した暗部が来るまで…足止めだけでもしておく
…それが、アナタから全てを教わった…
アナタの部下だった…)
「私の役目よね、大蛇丸」
「無理よ」
かつての師との、再会だった。
「ん?」
あの人って…試験官のアンコさん?
少し離れたところから、なまえはアンコの姿を見つけた。
酷く、苦しそうにひざまずいている。
何故こんなところに試験官が?と思ったが、医療忍者としては、治療するという使命が働き、すぐさまアンコの元へと走る。
が、その途中でアンコが一人でないことに気づき、すぐに木の影に隠れた。
直感で何故か、隠れなくてはと感じた。
「さっきそれと同じ呪印をプレゼントして来たところなのよ…欲しい子がいてね…」
わずかに聞こえて来る会話は、なまえにとってはよく分からないものだった。
…呪印?プレゼント?
「くっ…勝手ね……まず死ぬわよ、…その子」
「確率は10に1つだけど、お前と同じで…死なない方かもしれないしね…」
「……えらく……気に入ってるのね…その子…」
アンコの荒い息遣いが聞こえて来る。
(アンコさんの前にいるヤツ…チャクラが…強すぎ…)
冷たいチャクラ…
足が、震える。
「お前と違って優秀そうな子でね…なんせ、うちは一族の血を引く少年だから…」
………な!!?
「容姿も美しいし…私の世継ぎになれる器ね…」
しばらく、なまえは呆然と立ちすくした。
つまり、呪印とかいうのをサスケくんに…?
"死なない確率は10に1つ"
「…さて…ウチの里も三人ほどお世話になってる…楽しませてもらうよ…もし私の愉しみを奪うようなことがあれば…
木ノ葉の里は終わりだと思いなさい…」
男は立ち上がり小さく笑った。
「…それと…後ろにいる子、バレバレだったわよ」
「…っ!!」
(バレた…!!)
「……じゃあね、アンコ」
「…ま…待ちなさいよ!!」
「……ぐ…ア…アンタは…」
痛む呪印を抑えながら、アンコは大蛇丸の言った"後ろの子"を確認した。
何してる、早く逃げなさい!!
そう言いたいのに声が出ない。
「あんた…サスケくんに何したの!?」
「あら…サスケくんのお友達?」
男はまた不気味に笑った。
「………あ、…あんたは…」
その笑みで、なまえはある人物を思い出した。
"気持ちの悪いオカマ口調の蛇ヤローでねぇ…"
「へぇ…私を知ってて呼び止めたの?」
「………………」
間違いない。
前に綱手様が言ってた、
元仲間だった男。
「……大蛇丸…」
「フン…私は時間が無いもんでね…アナタに構ってるヒマは無いわ…」
大蛇丸は印を組むと、
「じゃあね…」
煙とともに、姿を消した。