火の狭間

□第六章
2ページ/17ページ






34.大蛇との遭遇





なまえ同様、森の中を駆け抜ける者がいた。



(もう夕刻だわ!!)



第二次試験試験官の、みたらしアンコである。



こちらは危険因子を滅しようと、なまえとは違った意味で急いでいた。



(しかし…いったい今頃なぜアイツが…目的は何…!?)



木から木へと飛び移り、思考錯誤を続ける。



(…まあ、いいわ…この里に来たのなら、今日ここでケジメをつける!)



アナタはもう…手配書レベルSの超危険人物…



(とにかく要請した暗部が来るまで…足止めだけでもしておく

…それが、アナタから全てを教わった…

アナタの部下だった…)



「私の役目よね、大蛇丸」


「無理よ」



かつての師との、再会だった。





「ん?」



あの人って…試験官のアンコさん?



少し離れたところから、なまえはアンコの姿を見つけた。


酷く、苦しそうにひざまずいている。



何故こんなところに試験官が?と思ったが、医療忍者としては、治療するという使命が働き、すぐさまアンコの元へと走る。


が、その途中でアンコが一人でないことに気づき、すぐに木の影に隠れた。


直感で何故か、隠れなくてはと感じた。



「さっきそれと同じ呪印をプレゼントして来たところなのよ…欲しい子がいてね…」



わずかに聞こえて来る会話は、なまえにとってはよく分からないものだった。


…呪印?プレゼント?



「くっ…勝手ね……まず死ぬわよ、…その子」


「確率は10に1つだけど、お前と同じで…死なない方かもしれないしね…」


「……えらく……気に入ってるのね…その子…」



アンコの荒い息遣いが聞こえて来る。



(アンコさんの前にいるヤツ…チャクラが…強すぎ…)



冷たいチャクラ…

足が、震える。



「お前と違って優秀そうな子でね…なんせ、うちは一族の血を引く少年だから…」



………な!!?



「容姿も美しいし…私の世継ぎになれる器ね…」



しばらく、なまえは呆然と立ちすくした。


つまり、呪印とかいうのをサスケくんに…?



"死なない確率は10に1つ"




「…さて…ウチの里も三人ほどお世話になってる…楽しませてもらうよ…もし私の愉しみを奪うようなことがあれば…

木ノ葉の里は終わりだと思いなさい…」



男は立ち上がり小さく笑った。



「…それと…後ろにいる子、バレバレだったわよ」


「…っ!!」


(バレた…!!)


「……じゃあね、アンコ」


「…ま…待ちなさいよ!!」


「……ぐ…ア…アンタは…」



痛む呪印を抑えながら、アンコは大蛇丸の言った"後ろの子"を確認した。


何してる、早く逃げなさい!!


そう言いたいのに声が出ない。



「あんた…サスケくんに何したの!?」


「あら…サスケくんのお友達?」



男はまた不気味に笑った。



「………あ、…あんたは…」



その笑みで、なまえはある人物を思い出した。



"気持ちの悪いオカマ口調の蛇ヤローでねぇ…"



「へぇ…私を知ってて呼び止めたの?」


「………………」



間違いない。


前に綱手様が言ってた、


元仲間だった男。



「……大蛇丸…」


「フン…私は時間が無いもんでね…アナタに構ってるヒマは無いわ…」



大蛇丸は印を組むと、



「じゃあね…」



煙とともに、姿を消した。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ