火の狭間

□第七章
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50.遠い記憶




いつの記憶だろう。

まだ小さい私とサスケくん、


…そしてイタチさん。



「兄さん、今日は何して遊ぶっ?」


「そうだな…なまえは何が良いんだ?」


「あたしはなんでもいいよーっイタチさんとサスケくん決めて!」


「サスケは?」


「オレもなんでもいい!」



兄さんと一緒なら。


嬉しそうに、サスケくんは小さく呟いた。



遠い、遠い…いつかの記憶。




「起きてたのか?」



サスケくんに声をかけられ、私はゆっくり身体を起こした。


蝋に灯る火が、サスケくんの姿を揺らす。


横を見れば、サクラとナルトがぐっすりと寝ていた。



「…今ちょうど目が覚めたところ。なんだか懐かしい夢みてたみたい」


「………………」


「見張り交代しようか?」


「大丈夫だ」


「…あ、そう」



サスケくんの横に座り、木の間から覗く星を見上げた。



「やっぱり木ノ葉は空気が綺麗なんだねー…」



そう呟くと、サスケくんも顔を上げ、夏の夜空を見つめた。


「…この五年、どこ行ってたんだ?」



「…いろーんなとこ。もう忘れちゃった」



…綱手様が作った借金の、借金取り達から逃亡するために

転々としてました…なんて

…言えない。



「いの達とか…みんな無事かな」


「……さあな…今はあいつらも一応敵だからな」


「そうだね…」


「…まあ、あいつらには感謝しなきゃな…危うくオレらは全滅しかけた」


「本当…サクラも…よくがんばったよ…」



私とサスケくんは、ほぼ同時にサクラを見た。


長かった髪は肩上ほどまで短くなってしまっている。



「…私はもっと強くなる」


「………………」


「サクラの覚悟に…答えなきゃ」


「…………そうだな…」



もしサクラがオレを止めていなかったら、オレは今頃…


考えただけでぞっとする。



「あ、そうだ!」


「…なんだ?」


「私、写輪眼…完全にじゃないけど開眼したよ」


「…やっとか」


「うわ、ムカつく!!」



もういいし、寝てやるっ!!


そう言ってなまえは再びサクラの隣に横になった。



「………あと10分したら代わりなさいよ」


「……ああ」



オレも、強くならなきゃな。



こいつらを守るためにも、


オレは…強くなる。






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