火の狭間
□第五章
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28.危ない試験官
しばらく受験者達は演習場の森を前に、その不気味な雰囲気を感じていた。
「何か薄気味悪いところね……」
サクラが言うと、なまえも「本当ね。」と相槌を打ってから、
「あたし達が演習したとこと、全然違うね…超不気味」
と続けた。
ナルトやサスケも、その重々しい雰囲気をした森を目の前にして押し黙っている。
試験官であるみたらしアンコはそんな受験者達を楽しむかのように、小さく鼻で笑った。
「ここが"死の森"と呼ばれる所以、すぐ実感することになるわ」
その言葉がカンに障ったナルトは、ふざけながらアンコの言葉を復唱した。
もちろん、強がっているだけなのだが。
「なーんておどしてもぜんっぜんへーき!怖くないってばよ!」
「そう…君は元気がいいのね」
冷ややかに、アンコは笑った。
同時にナルトの頬をクナイが一つ、掠める。
「!」
(速…っ!!)
なまえ達が気づいた時には、アンコは既にナルトの背後に回っていた。
「アンタみたいな子が真っ先に死ぬのよねェ…フフフ…」
ナルトの背後に回り、頬から垂れる血を舐めるアンコの姿は、異様としか言えない。
「…私の好きな赤い血ぶちまいてね」
背筋が、凍った気がした。