狭間

□一話
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目を開けると見覚えのない天井だった。床の上…いや藁を編んだようなものの上に布団がしかれその上に俺は寝かされていた。
体を起こし体が何の拘束も受けていないことを確認する。いったい、ここは、どこだ。なぜ俺はここにいる?
意識を失う前になにをしていたのか…思い出せない。
その時扉が開き、12,3のガキが部屋に入ってきた。珍しい東洋人のような顔立ちだった。

「あ、気がつきました?ご気分はいかが…っ」

そいつが口を閉じる前に床に押し倒す。そして腹の上に乗り顔の横に手を置いた。
ガキの顔が苦しげに歪む。悪くない。

「おい…ここはどこだ。どうしておれはここにいる」

「……っく、っふ…っく」

「早く答えろ」

体重をさらにそいつにかけた。そいつは焦ったように体をもがかせた。

「っど、どいて、くださ…いっ!…こ、えが……出ないで、っす」

言う事を聞くのは癪に障るので、しばらく見つめてやった。そいつの目は苦しげだが恐怖は感じられず少し嬉しそうでもあった。
…変な奴だ。

「っち」

しょうがないがどいてやった。ガキは大きく息を吸った。涙目で。

「乱暴な人ですね、もう」

やはりその声に恐怖は感じられなかった。

「いいから質問に答えろ。もう一回苦しい目に遭いたいなら話は別だがな」

「え、それちょっと魅力的…。嘘、嘘ですよ!
えーとここは○○区3丁目の16番地、私のアパートの一室です。あなたが道で倒れてたので一時的に部屋に保護しました。ここあんまり治安よくないんで…。あ!私が来た時にはもう倒れていらっしゃったんでお財布とか盗まれちゃってるかもしれないですね。荷物はとりあえずそこに置いときました。触ってないですからね!本当ですよ、何か無くなってても私盗ってないですよ!
…どうかしました?」

何も返事をしない俺を不審に思ったのかそう聞いてくる。
よく喋る奴だ。相槌を打つ暇さえねえ。それにしたって○○区なんて聞いたことがない。まあ地図を見れば分かるだろう

「いや、何もない。」

俺の荷物を置いてある場所に目を向ける。
そこには立体起動装置と刃が置いてあった。俺は意識を失う前、訓練をしていたのか、それとも巨人と戦っていたのか…

「…随分物騒なもの持ち歩いてるんですね。警察に見られたら逮捕されちゃいますよ」

流してしまおうと考えたが、その言葉にはなにか違和感があった。
それに気がついた時、愕然とした。

「!!…お前立体起動装置を知らないのか!?」

「?聞いたことないです。何に使うんですか?」

「なにに、使うかだと…!?お前巨人を知らないのか?巨人と戦う術が人類はコレしかないんだぞ…!」

「巨人と戦う?あの、野球のチームのことじゃないですよね?っていうか巨人ってなんですか?」

本当に不思議なものを見る目でガキは俺を見ていた。
おい、どういうことだ。巨人を知らないだと…?そんなことあり得るのか…物を知らないという程度ではないぞ…。

「じゃあ壁はなんのためにあるんだ」

「壁って…ベルリンの壁ならもう壊されたし、あれは人にとって良いものではなかったですよ
どうしたんですか?やっぱりどこかで頭を打ちましたか?」

気づかう声が聞こえたがそれどころではなかった
ベルリンの壁?そんなものは聞いたことがないし、壁が人にとって良いものじゃないだと?どういうことだ、何が起こった。
こいつの頭が可笑しいのか、俺の頭がおかしいのか…
とりあえず周りの状況を確かめようとカーテンを引き外を見た。

外はとても明るかった。しかし空は暗く夜の空だった。

なぜ…夜なのにこんなに明るい!?


「ここは…どこだ」


眩暈がした。もうわけが分からない。後ろに倒れていく感覚と体を支えられた感覚を最後に意識が消えた。
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