BOOK

□大人子供戦争
1ページ/1ページ



「今日も来たのか?よくもまぁ飽きずに来るもんだ」

いつものコーヒーショップでまた同じ席につく。
もちろん拓也さんの隣。
もうここは俺の定位置と言って良い程…かな。
ここに通い続けて早1週間、

「用も無いのに何で毎日来るんだ。俺の気が休まる時がないだろう」

やっぱり拓也さんは眉間にしわを寄せながら嫌そうに言う。
て言うかそんなに眉間にしわ寄せてたらいつか癒着しちゃうんじゃないの?

「用が無い訳じゃないよ…」

「じゃあ何だ…」

コーヒーを啜る拓也さんにゆっくり一言。

「拓也さんに会いたいだけ」

ぴくっと反応する拓也さん。
どう思ったかな……
この人こう言うのに免疫なさそうだし、女もいなそ。

「大人をからかうのもいい加減にしろ。…何か欲しい物でもあるのか?買ってやるから放っておいてくれ」

この人やっぱり子供は物を与えれば良いと思ってる。
だからカズに嫌われるんだよ。バカだなぁ…

檜山さんは買い出しに行って今はいない。
二人っきりの良い雰囲気。
こんなチャンス逃せないよね。

「拓也さん、俺の事嫌い?」

「…子供(ガキ)は嫌いだ。」

コーヒー啜りながら平然装ってるけど動揺してるのバレバレだよ。


「拓也さん、俺拓也さんの事好きだよ。」

「子供に好かれても仕方ない…」

コーヒーがなくなってしまったカップに気付き、拓也さんはそのままカウンターにコトンと置いた。

「俺ってそんなに子供っぽいかなぁ…?」

上目を遣って拓也さんの方を見つめる。

「俺からして見たら十分子供だな。」

あんまり心は動いてないみたいだけど…、普通の人なら先ず当たり前か。本当に当たり前だけどまだ俺は恋愛対象外って所だな。

「拓也さん、ちょっと一緒にデートしませんか?」

「俺に少年趣味はないが?」

「お願いしますー」

席から立ち上がり、ギュウッと後ろから抱きしめる。
俺あんまりこう言うキャラじゃないんだけど…。と内心自分でツッコんでおいて………何でもするからーと適当な事を騒いでみる。

「分かったから触るな騒ぐな!……だから嫌なんだ子供(ガキ)は」

「やったぁ!!」

ため息をつく拓也さんにより一層子供っぽく振る舞ってみせる。もっと嫌になれば良いよ



拓也さんはため息一つ立ち上がり、上着を羽織った。


「行くぞ…」



[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ