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□正反対な君
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「椿ちゃん!!待ってよ!!」

「歩くの遅い」


彼の先を歩く私


彼は何となく情けない


まるで女子のように


「椿ちゃんは格好良い」

「そんな事を言うのはあんただけ」

「そう?」

「そう

 あんたは器用で良いね

 みんなに好かれて」


私は生意気だ何だと嫌われ者


彼は器用にみんなに好かれてる


でも好かれたいとも思わない


人は…怖い…


「そうかなぁ…」

「分かってもらいたいとも思わない

 好かれたいとも思わない

 私は私で良いの」

「椿ちゃん…」

「私はあんたとは違うの」

「椿ちゃんは完璧なのに…

 勿体無いなぁ…」


私のどこが完璧なの?


私はこいつが理解できない


「頭良いし運動できるし…

 可愛いし」

「…は?」

「椿ちゃんは可愛い」

「…あんたって本当

 みんなと違うね」

「ねぇ椿ちゃん

 笑いなよ

 椿ちゃんがみんなを好きになれば

 みんなも椿ちゃんが好きになるよ?」

「私は人が嫌いなの!!」

「でもね椿ちゃん

 俺は椿ちゃんに

 笑ってほしくない」

「は!?」


こいつは独り言を言ってるのだろうか?


話がつかめない


矛盾してる


「椿ちゃんが好きなのは

 俺だけで良い

 椿ちゃんの笑顔を知ってるのは

 俺だけで良い」


意味が分からない


「私が男であんたが女だったら…

 好みを批判される事も無かったのに…」

「俺は嫌だ

 椿ちゃんを守れなくなる」

「は?

 守ってるのは私でしょ?」


私はいつも


こいつを守ってる


こいつが頼りないから


「椿ちゃんが傷付いたとき

 守ってあげられる男は

 俺だけなんだから」

「だから、」

「好きだよ、椿」


初めての呼び捨て


「人はみんな嫌い…」

「椿、」

「でも!!

 …あんたは嫌いじゃない…」


私はきっと素直じゃない


「大好き♪」


だから


抱き締められても


キスをされても


何も言えなかった




END
 

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