+小説+
□迷い猫
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僕が迷い込んだ世界
そこは
冷たくて
暗くて
悲しい世界だった…。
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「おや、迷い猫ですか?」
僕を見てそいつは言った
「私が…人間が怖いですか?」
「…人…間…?」
「そう、人間です」
人間は僕に言った
家に来いと
断る理由もなかったし
ここに居るのは怖かったので
そうすることにした
それに…
この『人間』だけは
怖くなかった…
*+*+*+*
この世界の『人間』は…
と言うより生き物は
互いを嫌っているらしい
「どうして…?」
「さぁ…君の世界では違ったんですか?」
「うん」
僕の世界では
みんなが仲良しだった
「そうだ、名前は?」
「名前…?」
僕の、名前…
「覚えていないんですか?」
「…うん…」
そう言えば、どうやて来たのかも
忘れてしまった
「…帰れないの…?」
「…そういう事になりますね…」
「…そん、な…」
ポロッ…
涙が一粒
元の世界に…
帰れない…?
「大丈夫です」
そう言って僕を抱き上げた
そいつの表情は、笑顔
「必ず私が見付けます」
「本当…?」
「それまではここに居なさい」
「…うん…」
そいつの笑顔は
優しい笑顔だった
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