思い出宝箱
□恐怖のドッジボール
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今でも夢で見ることがある。小学3年生のときに体験した、リーダー対決に巻き込まれた“恐怖のドッジボール”を!
まずはどこから話したらよいのか、遠い記憶のふたを開けることにしましょう。
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「今日から友達な。母ちゃんにおまえと仲良くしろって言われた」
F君にそう言われたのは、小学校に入学してすぐのこと。
クラスのほとんどが幼稚園からの顔なじみで、まだ入学して間もないということもあってか、同じ幼稚園同士で固まっていたところに、ひょっこりと現れたF君。
突然のことで、なんのことやらと思いつつも、私は「ありがとう」と笑顔で答えたのだった。
F君の言った意味がわかったのは、家に帰ってすぐ。お母さんがよく行く八百屋さんが、実はF君ちのお店で、お母さん同士仲良くなったという、よくあるパターンだった。
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「今日から友達な」と言われたその日から、F君は私にとって特別な存在となった。
気づけばいつも隣にいて、休み時間も帰るときも、F君が隣にいることが当たり前のようになっていた。
もしかしたら、一度でもクラスが違っていたら、こういった関係にはならなかったかもしれない。