長文的なモノ

□ミカゲ君奮闘記
2ページ/5ページ



1.その一言から全てが始まった


「…………」
軍内一の忙しさを極めるアヤナミ参謀長官の視線の先では、大佐であるカツラギが自分の仕事の合間に掃除をしたり全員にお茶を淹れたり書類整理をしたりスケジュールをチェックしたりと、とにかく動き回っている。
勿論その動きに無駄はない。
最小限の動きで最大限の成果を上げているし、カツラギ本人は今の仕事を苦になど思ってはいない。
しかし、本来なら彼がしている仕事はアヤナミ付きのべグライターが行うものであり、カツラギがするものではない。
常々苦労をかけているとは思ってはいたが、この日はアヤナミの機嫌が悪かったのかよかったのか、普段ならば言わないような一言が口からこぼれた。
「雑用係がいるな」
『……………………』
その珍しい独り言のような呟きに沈黙するブラックホーク。
「コナツ!」
いち早く行動に出たのは少佐であるヒューガ。ぱちんと指を鳴らすと己のべグライターを呼びつける。
「行くよー」
「はい!」
どこに、とも、何をしに、とも告げることなくヒューガとコナツが部屋を出て行く。
検討はついているので他の誰も口を開くことをしない。
ヒューガは要塞から士官学校へと足を向ける。

生贄の子羊には目星がついていた。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ