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□4巻巻末特別漫画・柩様選挙ポスターその後(長ッ)
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零が部屋の扉を開けると、ダンボール箱が一つ部屋の中央に鎮座していた。
不審に思いながら宛名をみれば、差出人は優姫。
(……何してんだ、あいつ)
筆跡も優姫のものに間違いなさそうだったので、零はとりあえず箱を開けてみる事にした。
ガムテープを剥がし、蓋を開ける。
「………」
中身を覗き込んだ一秒後、箱は壁に叩きつけられ原型を崩された状態で部屋の隅に落下した。
(……何してんだ、あいつ)
箱の中には大判のポスターが入っていた。選挙ポスターのように、でかでかと名前の入ったポスターだ。
それだけでも意味がわからないというのに、印刷されていた人物が玖蘭柩であったことがさらに意味をわからなくしている。優姫がこのポスターを欲しがるならわかるが、なぜその優姫が自分にこれを送ってきたのか甚だ疑問だ。
わからないのならば聞けばいい。
「ただいまー」
零が箱を持って理事長宅で待つこと数分。帰宅してきた優姫に、視線で無言の圧力をかける。それはもう、通常の倍以上のGがかかっているのではないかと思うくらい。
「あ、藍堂先輩がくれたもので、零にもあげたいって先輩が言ってて、でも先輩の名前だと受け取らないだろうからって私が宛先書いて………」
耐え切れなくなった優姫が大人しく白状した内容を聞くなり、零は無言で部屋へと戻っていった。
びくびくと怯えながら優姫がその後を追う。
ばたん!
鼻先で閉まるドア。
だんだんだんだんだんだんだんっ!!
中から響く銃声。
びりびり、びーびりびり、びり、びりびり、びりびりびりびー!!
重ねた紙を力任せに破り捨てる音。
「………ぜ、零?」
恐る恐る優姫がドアに手をかけるより先に、目の前のドアが開いて零が出てくる。
「腹減った」
そう一言だけ呟くと、優姫になど構うことなく台所へと歩いていってしまう。
「何か、機嫌いい…?」
一連の流れで、部屋の中で何が行われていたのかは想像が付く。
想像はつくが、確かめたくなるのが人間の性質。
だがその性質を抑えて本能が告げる。
見てはいけない、と。


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