WJ

□フォーリンラブ
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休日の部活。
何でだかバスケ部全員が輪になって昼食を取ることになった。
「火神は本当によく食べるなぁ」
「ほーは?へふは?」
火神の左側に座っている木吉がそんな感想を漏らせば、リスの頬袋よろしく頬を膨らませた火神が首を傾げる。
「口に物詰めたまま喋らないで下さい。聞き取れないです」
「うっへ」
火神の右側に座っている黒子がそのことを注意すれば、頬を膨らませたまま火神が眉を寄せる。
「これでもかってくらい詰め込むから、何か笑えるな」
もぐもぐもぐ、、、ごっくん。
「笑えるって、あんた失礼だな」
先輩に向かってあんた呼ばわりも失礼だ、と誰もが思ったが、彼の壊滅的な敬語の使えなさ具合を知っているため今更何も言わない。
ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく……。
たちまちなくなっていく大量のパンたち。
「うん。いい食べっぷりだ」
「見てるだけでボクお腹いっぱいになりました。火神君、残り差し上げます」
「おー、サンキュー」
(まだ食うのか!?)
片手に食べかけのパンを持ち、片手で黒子のパンを受けとる。
「まだ入るのか。火神の胃袋はブラックホールだな。なんなら俺のも食べるか?」
食べようとして開けたばかりだったパンを差し出すと、「ども」といいながら火神がそのパンに齧り付いた。
「…………………」
両手が塞がっていたため、火神にとってその行動は自然な成り行きだったのだが、どういうわけか木吉は笑顔のまま固まってしまう。
(おちたな、ありゃ)
(おちましたね、これは)
(おちちゃったかー)
(おちた……)
人が恋に落ちる瞬間を目撃してしまった部員は、それぞれに遠い目をして自分の弁当に集中することにした。


END



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