WJ

□遠い
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俺が生まれた時には、すでに彼は護る立場にいた。
妹が生まれて、俺も護る立場になったが、相変わらず彼に護られる存在だ。
俺が一つ年を取れば、彼も一つ年を取る。
縮まらない追いかけっこは永遠に続く。
彼が兄で、俺が弟であるという定義は絶対無くならない。
彼が兄で有る限り、俺が弟で有る限り、彼にとって俺は護るべき存在のまま。
俺がいくら努力をしようと、埋められない差。
わかってる。
彼に精神面では敵わない。
だからせめて、見た目だけでも彼を超えたいのに、もどかしい程に俺の成長は遅い。
いつか追いつきたいのに、いつかが来るのか不安になる。
そんな時、彼は決って甘いホットミルクを作って俺によこす。
まるで、焦らなくていいんだぞ、っていわれてるみたいだ。
わかってる。
俺はただ、彼と同じ場所に立ちたいんだ。
彼と同じ景色が見たいんだ。


END


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