Unlimited time


□act.1 偶然と運命
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act:1

交際する地点




「ここが…クロックウォーク城下町…」


少女は街に足を踏み入れた。
ストレートの長い黒髪が風に靡く。

やけに人で賑わっているので少女は不思議に思った。
すると空に大きな花が開いた。光に思わず目を瞑る。後からバンと音が響いた。
いくつも上がる花火。
晴れて済んだ星空に、色取り取りに咲き誇る。


少し眺めた後に、少女は一本道を進んで行った。
人混みを掻き分けて、行き当たるのは高い城。クロックウォーク城だ。

少女は城内に入ろうと試みたが、さすがに城となると一般人は入る事は出来ないらしい。
それでもとどこか裏口を探すが、やはり兵士が取り囲んでいる。

どうすればいいかと悩んでいると、ある建物が目に入った。

高い塔。あそこからもしかしたら。
それに高い所から見る事で何かが見つかるかもしれない。


少女は裏通りに曲がると、着いた塔の梯子を上る。
上りきった後は階段が続いていて、上を見上げると小さな穴から人だかりが見えた。
やっぱりこんな日は高い所には花火を見ようと人が集まるらしい。


どうしようかと悩み、途方に暮れてトボトボと歩いていると、どこからか音楽が聞こえてきた。
端の段差に腰を下ろす。自然と指でリズムを刻んでしまう。

口ずさんでいたら、ひとりでなにしてるんだろう、と何だか虚しくなりやめた。
城へ入る方法が思いつかず、諦めようかと考え出したその時、後方で何かが落ちるようなすごい音がした。


「いってー!」

驚き立ち上がって後ろをを見ると、人影が。恐らく屋根の上から落ちたのだろう。
それは自分と同じくらいの少年で、綺麗な金髪の髪が風に靡いていた。


「歌、上手いんだな」


そう言った。
その少年の少女を見るアクアマリンの瞳は、惹き付かれるほどだった。







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