Unlimited time


□act.8 Release
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「大丈夫?」
「もう大丈夫。ご迷惑おかけしました!」


少し下ったところに、小さな洞窟があったのでそこで休む事にした。
吹雪は大分弱まり、寒さはさっき程でも無い。

「どうしたのかな?」
「んー、小さい頃にお医者さんに止められてたんだけど…登山とか、そーゆーの」
「なんで?」
「貧血、だからだと思う」


アリアは最後に「多分」と付け足す。


「よくわかんないけど、止められてた。もうすごい昔の事だし、大丈夫だと思ってたんだけど…」
「薬は飲んでないの?」
「…自分の家にね、忘れてきちゃったんだ。家には…帰りたくないからさ」

戸惑うように言う。
それから沈黙が続くので、シオンが慌てて言った。


「これまでの事、まとめませんか!」
「まとめる?」
「ほら、いろんな事がありましたし…」


思えば最初はクロックウォークだったのに、それがもうあんな遠いところで。
何も無しでここまで来たはずもなく。メルトの事、ソラの事件、鎮魂曲、グリーフ討伐……たくさんの事が起きて、それはこれからも続いてくんだと思う。


「あのさ…報告、しておかなきゃいけない事があるんだ」

カノンが口を開く。


「最近…記憶が、戻り始めてるんだ」
「えっ!」
「さすがにまだソラの顔とかは思いだせないけど…。ソラとの思い出とか、そうゆうの」
「それだけでもすげーよ!よかったじゃん」

レンが本当に嬉しそうに言うので、カノンを笑みを見せる。
周りもニコニコとしている。


「それで…多分ソラはどこかに封印されてると思うんだ」
「封印……?」
「多分…エヴァだと思う」

あの兵士の鎧に刻まれた紋章はエヴァの紋章だ。
その時『エヴァ』という単語にシオンが俯いたのを、レンは気付いていた。


「でも、なんで突然蘇り始めたかわからないんだ」
「んー…それは」

唸るばかりで、答えは出なかった。こうかもしれない、というものがあっても違うとやめにしたしりて。


「…前から思ってたんですけど……出会った時カノンさんは一人前の演奏士になるために≠チて言ってました。でも、今カノンさんは一人前の演奏士になるため旅をしてるって言うよりも、ソラを探して旅してますよね?」

カノンはぽかんとしていた。訊かれるとは思わなかったのだろうか。
カノンは笑って答えた。


「旅してる理由はやっぱりソラを探してるって方が大きいけど、一人前の演奏士になりたいのは本当。だから演奏士についてのいい噂が耳に入れば、そこに行くよ」

ソラが素敵な魔導士だったから、自分もソラに近付きたい。
そう思って、ソラを探しながら旅をしている。


「クレッドさんは?」
「はい?」

端っこに足をのばして座っていたクレッドにシオンは話をふる。


「クレッドさん、話聞いてるのかなー?って思ったので話をふってみました」
「酷いですねー、ちゃんと聞いてますよ」

プンプンと効果音が聞こえてきそうだ。


「で?」
「なんですか。私の旅してる理由なんて聞いても何の得にもなりませんよ」
「別にいいじゃないですか。お話タイムです」
「しょーがないですねぇ…」

と言いながらチラリとシオンを見る。
するとシオンはニッコリ笑ってみせた。




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